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内容説明
プラハのとある教会では、守護天使たちが集い、自らが見守っている人間たちの話を繰り広げている。ハンググライダーに熱意を注ぐアレックスの天使は過労気味で、ワイン作りにすべてをかけるチェニェクの天使は圧搾機でつぶされてしまう…。かつて美男子であったという天使は美しいアニンカに恋してしまい、サッカー選手アントン・オンドルシュの天使は一緒にゴールを決めた!あるじを裏切ってしまった天使や、ヴァスコ・ダ・ガマを見守りインド航路を発見した天使など、国を超え時も越えた天使たちのおしゃべりは、ワイン片手に夜な夜な続く。
著者等紹介
ブリッチ,パヴェル[ブリッチ,パヴェル][Brycz,Pavel]
1968年、北ボヘミアのロウドニツェ・ナド・ラベム生まれ。ウースチー・ナド・ラベム大学で教育学を修めたのち、プラハ芸術アカデミーで演劇を学ぶ。小説、児童書、エッセイなど、多岐にわたる作家活動を行ないながら、コピーライター、作詞家、脚本家としても活躍。小説『とうの昔になくなった家父長制の栄誉』(2003)で国家文学賞を受賞するなど、現代チェコ文学の注目株
阿部賢一[アベケンイチ]
1972年、東京生まれ。東京外国語大学、カレル大学、パリ第四大学で学ぶ。現在、立教大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
65
プラハのバロック様式の教会に夜ごと集まった守護天使たちが、ミサ用の赤ワインを飲みながら語る、自分と自分が護っている人間のエピソード。人間以上に人間くさい天使たち…一生懸命見守って、とても心配してくれているけれど、たいして役には立っていない(笑)。彼らが語る人間たちは、歴史上の人物から市井の人々まで。どの時代のどんな人間もそれなりに一生懸命生きていて、天使はそれを懸命に見守っているのだと考えると、何だか嬉しくなってくる。2022/12/27
かもめ通信
27
「むかしむかしあるところで」と始める代わりに「プラハのあるバロック様式の教会では…」といった風に語り始められる物語たち。“チェコ文学”と聞いたとき、 思わず思い浮かべてしまうような、カフカや フラバルやミハル・アイヴァスのような不条理や難解さはなりを潜め、わかりやすさとすっきりとした後味の連作。2018/11/12
minimu
22
守護天使たちの夜な夜な繰り広げられる「オフ会」。人間が眠りに落ちると、天使たちはどこからともなくバロック教会に集まり、あるじたちの物語を語り始める。ときに、あるじたちのほうが天使らしく、天使のほうが人間臭かったり。ときに、あるじのために文字通り身を捧げる天使がいたり。ときに、現実に起こった、奇跡としか語りようのないあの出来事の裏に、天使たちの働きかけがあったと明かされたり。読んだあとに世界が少し輝いて見えてくるような一冊。2018/12/16
M H
17
「はじめての海外文学」で訳者の阿部賢一さんが登壇、紹介していた作品。守護天使たちが夜な夜な集まって彼らが見守る人間の話に興じている。天使はやたらに人間くさく、サッカー選手を見守って肩入れしまくる「ゴール」が特に良かった。こういう話が出てくるのがヨーロッパなのかな?と思ったり。このシリーズは初めてだけど、とても読みやすく、自然に外国の物語に触れられそう。2019/01/13
KI
15
見えないだけで、そばにいる。2018/08/04