感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seraphim
27
『昔話の残酷性ーグリム昔話をめぐってー』の改題・新装版。本の装丁が変わっていることと、一部、漢字の表記がひらがなに変わるなど、多少の違いはあるが、内容は同じ。よく、「昔話は残酷だから」という言葉を口にしている人がいる。しかし、そんな人にこそ、この本を読んでみて欲しい。昔話には、子どもの心の成長に欠かせないことが、たくさん詰まっている。ただし、子どもをひとりぼっちにして、昔話の絵本や映像などを与えるのでは意味がない。大人も子どもと一緒になって、昔話を楽しむ環境こそが大事なのだと強く思った。2015/06/05
ぼんくら
9
ドイツ文学の先生野村さんが、昔話の残酷性について、グリムのお話を例に解説してくれています。偉い先生なのに野村さんの書くものはとてもわかりやすいです。50ページちょっとなのですぐ読めます。2012/12/09
ぷりけ
7
人からの借り物。まず本の値段を見て驚愕した。一見、何かの付録か？と思わせる薄い本ながらこのお値段！てるてる坊主の続きの歌詞は知らなかったな。「ルンペルシュティルツヘン」の話で最後に小人の体を真っ二つに引き裂くという文が、「紙の人形と同じ」っていうのに納得した。全然残酷に思えない。今の時代、おばあちゃんと孫が絵本を読んだ時に、結末が違ってて両方戸惑うだろうなｗ。2014/11/12
鳩羽
6
昔話の残酷な場面について、文芸、民俗学、心理学といった三つのアプローチの仕方から考える。文芸的な見地からは、昔話の抽象性や様式、人物の内面が描かれず記号的なこと、善と悪がはっきりとしていて曖昧なものがないことなどから、残酷さが残酷なものとして子どもに影響を残さないこと。心理学的な見地からは、成長の過程で子どもは世の中への脅威を感じることがあり、昔話が完全に悪を放逐するのがむしろ心の成長の糧になることなど。短くまとまっていて、分かりやすいが、民俗学的な見地からの現実の方が残酷というのには少し笑ってしまった。2018/07/16
ぶたぶた
5
昔話は残酷なものが多いので、小さい子への読み聞かせではあまり選ばなかった。そんな自分に警鐘を鳴らしてくれた。わかりやすい文章で、テーマを論じてくれている。残酷なものがすぐに子供たちに悪影響を与えるとは自分も思わないが、それでも、いきなり小さい子供たちに真実を語るのはつらい。子供たちの発達段階にあわせて徐々に真実を語っていくことはできないだろうか。2014/05/19
