内容説明
この新規制基準とは何か。従前の安全指針との違いはどこにあるか。「新規制基準適合性に係る審査」会合では何が審査されているのか。何ゆえに審査はこんなにも遅れるのか。この審査を通じて原子力の安全性向上に確信は持てるのか。何か本質的な問題を見過ごしてはいないか。そうした素朴な疑問が執筆の動機である。
目次
第1章 原子力の設計と評価を特徴づける二つの重要な手段とは(確率論的リスク評価―重大事故に対する評価、対策の強力な手段;決定論的設計手法―設計基準対応の重要な手段(事例:基準地震動))
第2章 新規制基準ならびに新規制基準適合性に係る審査の概要(新規制基準の概要と新規制基準適合性に係る審査の内容、プロセス;原子炉プラント系の新規制基準適合性に係る審査の概要;自然現象系(地震、津波等)の新規制基準適合性に係る審査の概要)
第3章 原子炉プラント系(PWR)の新規制基準適合性に係る審査の状況(格納容器の破損モードと評価のための数値解析コード;格納容器の破損防止対策に関する有効性評価の審査;福島第一の経験を解析コードの開発に活かせるか;内部事象、地震、津波のレベル1PRAに関する審査;確率論的リスク評価の結果をどう読むべきか)
第4章 自然現象系(地震、津波等)の新規制基準適合性に係る審査の状況(審査遅延の原因の一つとなった基準地震動の審査;理学的な関心に偏りがちな基準津波に関する審査;地震、津波に関する知見と原子力施設の設計、評価の係わり;マグマのモニタリングを重視する火山に関する審査;決定論的設計手法に基づき着実に進む竜巻に関する審査)
第5章 原子力に関する新たな規制文化、事業文化の形成に向けて(新規性基準適合性に係る審査はどのような安全対策に反映されるか;最大加速度だけでなく、耐震裕度に対するより総合的な評価を;「制度と技術」、「規制と事業」のバランスが安全性向上の両輪)
著者等紹介
青柳榮[アオヤギサカエ]
埼玉大学大学院工学系研究科修士課程修了。博士(工学:Dr.‐Ing.ダルムシュタット工科大学)。東京電機大学助手を経て財団法人電力中央研究所入所。電力・エネルギーに関する技術と政策の両面に従事。同研究所参事、研究アドバイザーを経て、現在、評論活動(エネルギー技術/政策、現代技術論)を展開。著書に『活断層と原子力』(エネルギーフォーラム新書。2014年第34回エネルギーフォーラム賞/普及啓発賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ななみ
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