内容説明
日本が、すぐにかつてのように原発に邁進できるわけではない。しかし、粘り強く原発と福島第一原発事故に関する迷妄を解く努力を続けない限り、そして、相変わらず歪んだ原子力に関する言語空間を正さない限り、エネルギー政策の未来は悲惨なものとなるだろう。本書は、3.11以降のエネルギーをめぐる言論について、それらの「論点」を振り返っていただくための手引きの書のようなものだ。
目次
第1章 原子力規制委員会という「専門家」の実像
第2章 国会事故調は何を「見た」のか
第3章 原発事故の「火事場泥棒」たち
第4章 東京電力の「罪」とはいったい何か
第5章 放射線をめぐる出口なき「迷宮」
第6章 地震を予言する「地震ムラ」の正体
第7章 原発がゼロになる日―日本のエネルギーと安全保障
第8章 FUKUSHIMAに生まれた「螺旋」
著者等紹介
東谷暁[ヒガシタニサトシ]
1953年、山形県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、雑誌の編集に携わり、97年からフリーのジャーナリストに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ななみ
1
本書の指摘はとても良いところを突いていて実に為になると思うのだけれど、残念ながら読む人は少ないだろうな。著者もそれをわかっていて、ある意味気楽に?本音が書けたのかも。時の政権によって原賠法が無視され、復興に大きな悪影響があり続けていることはもっと広く知られていいし、事故調査が不適切な人選により予断を持って進められたことはその結論の信頼性を示す情報としてしっかり後世に伝えられるべき。そんな本書だけに、地震予知をめぐる記述があまりにレベルが低いのが残念すぎる。ここが無ければ広くお勧めできるのに。2014/01/03
万次
0
「反原発」派と「原発維持」派の議論も、感情論を排し、冷静に最低限この本の内容くらいを前提に進められるべきであろう。「年間1ミリシーベルト」のおかしさなどが書かれている。ジャーナリストらしい仕事ぶりだと思う。