感想・レビュー
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yumicomachi
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平成17年刊。第一歌集『子午線の繭』(昭和39年)〜第八歌集『鳥總立』(平成15年)より1650余首を収録。吉野の山に「文明に少し遅れて」暮らした歌人の詩魂と覚悟が生み出した豊穣な作品世界に圧倒された。〈かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり〉(『子午線の繭』)〈しつとりと重たき雪を支ふべき青杉の枝、てにをはその他〉(『鳥獣蟲魚』)〈さやうならといくたび振りしてのひらかひらひらとして落葉となりぬ〉(『鳥總立』)編・解説=前川佐重郎。詳細な年譜も興味深い。2018/09/08