内容説明
雑誌が全盛をほこった1990年代―。出版界の売上は2兆円に達し、多くの雑誌が生まれ、そして消えていった。当時、気鋭の出版評論家だった著者が、主な雑誌の編集長43人と語ったナマの声!貴重な資料でもある。
目次
「週刊宝石」(光文社)
「週刊現代」(講談社)
「週刊新潮」(新潮社)
「サンデー毎日」(毎日新聞社)
「週刊大衆」(双葉社)
「週刊朝日」(朝日新聞社)
「週刊読売」(読売新聞社)
「アサヒ芸能」(徳間書店)
「FRIDAY」(講談社)
「宝石」(光文社)〔ほか〕
著者等紹介
塩澤実信[シオザワミノブ]
昭和5年、長野県生まれ。双葉社取締役編集局長をへて、東京大学新聞研究所講師等を歴任。日本ペンクラブ名誉会員。元日本レコード大賞審査員。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yyrn
23
すでに廃刊となった雑誌も多く、昔を思い出しながら読んだ。通勤の友としては打ってつけだが、でもなぜこんな本を出版するのか?疑問。だって、当時を振り返る話ではなく、90年代当時に各編集長にインタビューした記事をそのまま載せているので、かなり時代感覚がズレていて、当時を知らない人は戸惑うだろう(私は面白かったが)。多くの編集長たちが部下のことを「うちの兵隊たちは」と語っているのが印象的で、徒弟制的情景やタバコの煙がどんよりとたなびく編集室内を思い浮かべてしまった。けっして昔が良い訳ではないが、懐かしくはある。2020/09/08
ぶんぶん
20
【図書館】「週刊宝石」から「SPA!」まで43誌の編集長の対談集。 1990年代の雑誌の隆盛を月刊誌「政界」に発表したもの。 なかなか面白いが43誌と言うと、かなり疲れる。 それぞれの雑誌にそれぞれの苦労はあるが、著者の経験から苦労話を引き出すのは流石である。 「ダ・ヴィンチ」「SPA!」新たに出版された当時の世相が面白い。 今と感覚が違う事も面白い。 しかし、仕事とはいえ、43誌だいたい判っているという筆者の力量が凄いと思う。 今となっては、違う視点もあるが、これはこれで世相を映し出している。 2021/05/03
imagine
8
あの頃の話を今聞いたのではなく、雑誌が輝いていた時代になされたインタビューを再録した本。1990年代といえば、まだノートパソコン普及以前。様々な雑誌が群雄割拠していた。掲載されている43誌は電車の中吊りで見かけるようなサラリーマン向けの雑誌が中心。人気雑誌はシェアの奪い合いや住み分けに苦心し、老舗は看板の重さに重圧を感じている様子がわかる。面白かったのは当時創刊されたばかりのダ・ヴィンチ。書評雑誌は当たらないという前評判を、本から入らない本の雑誌にすることで覆していた。2020/11/08
西澤 隆
6
90年代に行われた編集長インタビューを2020年にまとめた本。当時のインタビューだから昔を懐かしむのではなく「今のこと」としていろんなことが語られる。でも当時のインタビューなのに数十頁前で編集長が大いに語っていた雑誌が別の雑誌の編集長インタビューの中で休刊雑誌として触れられていたりと「輝いていた」頃でももう状況はシビアだったのだなとも思う。想定読者がおそらく20年後そのまま持ち上がってすべてがジジババ雑誌になっているのも実感するしまだ「出版社エラい」の匂いがぷんぷんしていて「業界内輪の自慢話」的な寒さも。2023/07/25