内容説明
終戦の前後、茨城県牛久沼のほとりに、釣った魚を生活の糧として、つつましく生き抜いてきた母と子がいた。母は、釣りに熱中する子の姿に一喜一憂しながら、その生きざまを詩情ゆたかに描き、本書を上梓した。
目次
水郷へ
鴬
秋まつりの宵
半ベラ論主意
三つの楽しい物語
TB病棟に詩あり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
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英美子は詩人。息子の中林淳眞はギタリスト。 本書は、第二次大戦中に茨城・牛久沼の近くに疎開し、戦後も数年間にわたって住み続けた記録。ほとんどは母の手になるが、一部、息子の文章も収められている。 釣りや魚の本というよりは、疎開先での貧しくつらく寂しい生活を綴ったもの。 息子は漁労で生活をはじめ、「半ベラ論争」の立役者ともなる。釣り好きには憧れの生き方かもしれない。 親子ともに人間としてはいろいろ問題があるように感じられるが、それだからこそ文学作品としての深みが加わっている。2018/04/01