感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
92
数えてみたら、私は小泉先生の演奏会を43回聴いている。若き頃の京響、首席が長かった日本センチュリー響、客演として凱旋の大阪フィルなど、関西のオケとの関係も深い先生だ。いつも暗譜で丁寧に各パートにサインを出される指揮ぶりを彷彿とさせる、誠実な文章である。東山魁夷先生、小泉武夫先生、有馬頼底管長や、数多くの経済人との華麗な交流も紹介される。東京、ベルリン、ウィニペグ(カナダ)に拠点を持ちながら、飛騨古川に古民家を所有し農業に勤しむ。現代社会が失ったものや日本的なものを大切にされる先生の生き方が伝わってくる。2022/06/02
どら猫さとっち
9
日本を代表する指揮者のひとり、小泉和裕の指揮者生活50年を気に、指揮者への道や自然と文化の関わりを大切にする姿が目に浮かぶ回想録とマエストロの在り方の書。クラシック音楽の演奏会を聴きに行くきっかけになったのは、小泉さんだった。そして名古屋フィルの音楽監督に就任するなど、彼の存在はすごく大きい。農業や陶芸など、自然を通じて生きることの大切さと思い入れには驚いたが、これも彼の音楽の哲学だった。改めて尊敬する指揮者。2021/12/26
Decoy
2
日本を代表する指揮者による自伝的エッセイ。とても読みやすい。華麗な経歴と、(良い意味で)古風な考え方が興味深い。2022/01/05