感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小丸
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文芸批評の前段階としての、本文研究の重要性について書かれたもの。文学研究において、全集や初版が一次文献として無批判的に用いられることが多いが、その中に誤植や作者以外(編集者、植字工…)の手からなる介入があれば、解釈に致命的な影響をあたえてしまう可能性がある。このような事態を防ぎ、作者によるオリジナルの原典を再現しようとするのが本文書誌学である。また、草稿から改訂稿、各版の変遷を追うことで、テクストの成立史を解明しようという試みについても触れられており、英米文学研究の状況が具体例として挙げられている。2015/10/06