出版社内容情報
「農耕」から「採集」中心の森の生活へ!
自然農に出会い、森に暮らして30年。
天地万物――土も草木も、獣も虫も、
すべてを師として生きる著者が描いた、
「農」の先にある未来図とは?
森の日々を、深い思索のうちに、
また時にユーモラスに綴りながら、
人が地球と共に生きる道を探った自然思想エッセイ。
◎ HarperCollins はじめ欧米5カ国大手出版社で刊行決定!
【本文抜粋】
…何日も朝夕にこのハエに血を吸われてみると、はっきりしてくることがあります。
第一に、地球は決して人だけのための星ではないということです。神様は人だけを愛しているのではないということです。(中略)
もう一つは、誰の土地か、ということです。ひどい先生です。容赦してくれません。白旗を掲げて私は叫びます。
「わかりましたよ。わかりました。私の土地ではありません。あなたの土地です。あなたの土地で私が農業をしているのです。ひどく迷惑をかけていますね」
(「呼吸が教えてくれる人生の秘訣」より)
…鶏はまるで生まれたての赤ん坊のようだった。天下泰平だった。すべてお任せで何の心配もなく生きていた。王のようだった。だいたい予想はついたが、鶏たちに聞いてみた。
「いいだろう。でももしも私が来なければおまえたちはどうするのか」
「そんなはずはない」
「いや、来ないこともあり得るだろう? そんなときはどうするんだ?」
「そんなことは考えたこともない」
「もしも、だよ。もしも長いこと誰も来なくて死んでしまうとしたら?」
「それはそのときになったら考えればいい」
心がはち切れそうだった。問答を放棄するしかなかった。
「なぜ起きてもいないことを心配する?」
それが鶏だった。
(「鶏は愚かではない!」より)
【訳者あとがきより抜粋】
…崔さんは、心の奥底では、最終的に我々が向かうべきは福岡(正信)さんの山のごとく森の中で畑なしに生きる道である、という考えを捨てきれませんでした。川口(由一)さんの農法は、農業の中では地球にとって最も良いものではあっても、農耕自体が大地を傷つける人類の「原罪」であって終着点ではない、という思いを持ち続けていたのです。
それが本書に書かれているような「農耕から採集へ」という提唱につながっています。つまり、栗を主食として、たとえ困難でも、なるべく狩猟採集に近い森の生活へシフトしようという呼びかけです。
(中略)
本書は二〇二四年に韓国で出版され、今回日本での出版を皮切りに英語圏とドイツ、イタリア、オランダ、ポーランドでの翻訳出版が決まっています。崔成鉉さんの「森の思想」が、国や文化を越えて受け止められはじめていることを嬉しく思います。
【目次】
第一部 天の「ことば」を聴く
自分の家も知らない人々 / 天国はどこにあるだろうか?/ 金魚鉢と金魚/ 私は誰か?/ 肉眼の限界/ 呼吸が教えてくれる人生の秘訣/ 天地の「ことば」/ 月の歌
第二部 大地の「ことば」をきく
生きている無尽蔵の壺/ 春夏秋冬/ 虎の面倒を見る/ カメムシと地蔵菩薩/ 山は画家/ 水という偉大な師/ 神様の歌/ 恥ずかしくない食卓/ 福を作る法
第三部 万物の「ことば」をきく
犬の説法1/ 犬の説法2/ 小さな草から学ばなければならないこと/ 木はアナキスト/ 虫の教え/ タネの力/ 鶏は愚かではない!/ 冬眠する動物のメッセージ/ 蝶の道/ 幼虫文明/ 新型コロナの教え/ ミツバチの質問/ 木の「ことば」
詩でやってきた万物のケリュグマ
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