感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きぬりん
1
高校生の純平とそのGF妙子が、大学教員である純平の叔父の家へと赴き、哲学についての講釈を拝聴する対話篇。ロダンの考える人や仏像の半跏思惟像は何を考えているのかという問いを皮切りに、デカルトのコギト、唯物論と観念論、虚無と実存などに触れつつ、哲学的問題の重要性や諸学に対する哲学の地位が説かれる。続いて真理の模写説とその前提となる素朴実在論の問題点が指摘され、最終的にはカントの人間学に依拠しつつ、人間とは何かが哲学の根本問題であると主張される。思想内容の解説よりも哲学することの重要性を説き、哲学へと誘う本。2025/06/15