内容説明
本書では、まず都市居住構造の形成原理である住宅市場の作動メカニズムを、需要面と供給面から考察する。新古典派モデルやさまざまな行動主義モデルを通じて、人口移動と近隣変化の関係を明らかにすると共に、「管理主義」「門番」などの概念を導入することによって、制約された住宅サブマーケットの姿を浮き彫りにする。次に下巻の中心課題である空間組織と立地摩擦を「外部性」概念から説明し、世界的な課題となりつつあるエスニック都市の分裂現象、コミュニティ同士の摩擦、都市の公平な運営の問題を考察する。これをうけて民主主義的な都市運営の基盤を、自治体・プランナー・市民のかかわりのなかで探っていく。最後に、1990年代以降の都市の姿を予測して、都市再構築を提言する。都市経済学(新古典派およびラディカリスト)、数理心理学、行動モデル研究、都市住宅論、都市計画学、都市人類学、エスニシティ研究、政治学などの分野の研究者にも幅広く推薦できる都市研究の定本である。
目次
5 住宅市場の需要面―居住地移動と都市居住構造
6 住宅市場の供給面―機会と制約
7 空間組織と立地摩擦
8 政治、計画、社会
9 20世紀末都市における変化