内容説明
オースターに会いにニューヨークへ、かつて住んだロンドンへ、兄を訪ねてオレゴンへ、ダイベックと一緒に六郷土手へ。柴田元幸初!旅のエッセイ。
目次
1 六郷育ち―東京
2 僕とヒッチハイクと猿―ロンドン・リバプール
3 ポール・オースターの街―ニューヨーク
少年の旅―ポール・オースターとの対話
4 兄とスモールタウン―オレゴン
5 スチュアート・ダイベックと京浜工業地帯を歩く―東京
6 東大・本郷キャンパス迷走中―東京
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京に生まれる。東京大学教授、翻訳家。文芸誌「モンキービジネス」の責任編集も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miyu
38
個人的にこういう虚構と現実の入り交じったスタイルの本が好きではないし、柴田氏の翻訳者としてでなく私人としての語り口も自分には合わずやや戸惑った。でも自称ボキャ貧(これ自体死語だけど・笑)の柴田さんの喋りはけして貧弱じゃなかった。ポール・オースターとの対談はとても興味深かったし、2歳上の実兄がアメリカ国籍を取ってオレゴンに住んでるのも意外だった。ダイベックとの京浜工業地帯散歩は、むしろこちらもガッツリ対談の方を読んでみたかったけれど。リバプールでの貧乏旅行ぶりは楽しかった。猿つながりだったのか、あの雑誌は!2015/05/06
メセニ
16
翻訳家柴田元幸による旅エッセイ。かつて過ごした六郷。学生時代に一人旅したロンドン・リバプール。オースターに会いにニューヨークへ。二つ年の離れた兄を訪ねたオレゴン。ダイベックと歩いた京浜工業地帯。柴田氏はかつて育った場所や旅した土地を再訪し、あるいは思い返し、そここに去りし日の自分を発見する。記憶は鮮明なものもあれば、都合よく書き換えられていたことに思い至りもする。柴田少年は不思議そうに今の彼を見る。それとも今の柴田氏がかつての自分の目を借り今の自分を見ているのか。軽いタッチの文章に宿る強烈なノスタルジー。2018/07/17
奏市
12
翻訳家で米文学者のエッセイ、短編集。表紙が印象的で絵かデザインかと思っていたら、リバプールにて著者と同行した写真家が撮った写真との事。著者の子供の頃の回想やポール・オースターとのニューヨークでの対話、スチュアート・ダイベック(恥ずかしながら知らない作家)と京浜工業地帯を歩き語った話などで好きな人には贅沢な内容と思う。「かつての君だった歳から、今に至る四十年間、身につけたものはこの程度の冗談を言う能力だけだったような気がしてくる」。共感。幼稚園にあるアルミの弁当箱を入れる下駄箱のような保温器知らなかったな。2022/02/12
たー
12
エッセイとも小説ともつかない本ですが、柴田氏独特のユルさが良い味出してます。おなじみのオースターやダイベックなどの人となりにも触れることができて二度美味しい?2010/05/30
Susumu Kobayashi
10
翻訳家の著者によるエッセイ集。生地東京での幼い頃の思い出や、大学入学後にロンドンでヒッチハイク旅行をしたり、アメリカを旅したりした時のこと、ポール・オースターとの対談、スチュアート・ダイベックとともに京浜工業地帯を歩いた時の話など。時々、過去の自分に遭遇するという幻想的なシーンが挟まれる。確かに、あれはかつての自分だなと思った経験もないわけではないな。2019/11/14