内容説明
本書の出発点は、無作為化臨床試験(RCT)こそ新しい処置法を評価し、認められている治療法の有効性と効率を判断する唯一の適正な方法であるとの、次第に強まる主張である。無作為化臨床試験の問題は、社会的義務と、自分たちをケアする人々に専心的な忠実さを期待する諸個人に対する義務との衝突の問題の一例として取り上げられる。この衝突は、最も広い社会的、哲学的関連で考察され、また、医療および医学実験の法、経済および政治との関連でも考察される。最近の興味をひく実例が、議論におけるそれぞれの段階を説明するために用いられる。統計学、経済学および政治学は、すべて、医学実験の特別なディレンマを解決するに際して役割をもっている。個々の患者への専門職業上の献身という伝統が、稀少な資源とより信頼しうる情報の必要性とに直面して、その中で賢明に実現されるような道を見つけること、それが目的である。
目次
第1章 序章
第2章 医学実験の法的位置付け
第3章 個人のためのケアの概念
第4章 個人のためのケア:利益ないしは権利
第5章 権利の実現―医療一般
第6章 実験の実際
著者等紹介
フリード,チャールズ[フリード,チャールズ][Fried,Charles]
プリンストン大学で文学士号を、オックスフォード大学で文学修士号を、コロンビア大学で法学士号を授与された。1960年から1961年までの間、アメリカ合衆国連邦最高裁判所判事エム・ハーランの書記官を勤めた。1961年以来、ハーバード大学ロースクールに所属し、1965年以来、法学教授。カリフォルニア大学バークレー校およびマサチューセッツ工科大学客員教授。1971年から1972年まで、グッゲンハイム奨学金給費研究員。現在司法省訟務局長。他の、法、法哲学および社会哲学の諸著作の著者であり、また、アメリカ政治および法哲学協会前副理事長でもあった
内藤周幸[ナイトウチカユキ]
1926年東京生まれ。1949年東京大学医学部医学科卒業。1950年東京大学付属病院第一内科に入局。1957年から1966年の間に、米国ハーバード大学、スウェーデン国ルンド大学、米国カリフォルニア大学に留学。1974年から現在まで厚生省薬務局新医薬品第2調査会委員、同第1調査会委員、厚生省中央薬事審議会正委員、同医薬品特別部会長などを歴任、現在、同常任部会委員。1979年東京逓信病院内科部長。1986年東京逓信病院副院長、現在に至る
光石忠敬[ミツイシタダヒロ]
1943年東京生まれ。1967年東京大学法学部卒業。1969年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。1970~71年昭和大学教養部講師(法学概論)。1976年日本弁護士連合会人権擁護委員会第4部会(特別委嘱)委員、現在に至る
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