内容説明
ここに暮らす人々は、大きな歴史や社会のうねりの中、それぞれに小さな悩みや事件を持ち、悲しいほど真面目に生きている。
著者等紹介
梁貴子[ヤンクィジャ]
1955年全羅北道全州生まれ。1978年『文学思想』の新人賞を「再び始まる朝」で受賞し、文壇にデビューする。その後小説やエッセイを多数発表し、1988年『ウォンミドンの人々』で柳周鉉文学賞を、1992年「隠れた花」で李箱文学賞を、1996年「熊物語」で現代文学賞を、1999年「沼」で21世紀文学賞を受賞した
崔真碩[チェジンソク]
1973年ソウル生まれ、東京育ち。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士。現在、広島大学大学院総合科学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
13
ウォンミドンにやってくる人のエピソード「遠くて美しい町」=ウォンミドンから始まるオムニバス短編集。2023/08/19
kibita
7
80年代ソウルオリンピックの直前、ソウル近郊のプチョン市ウォンミドンという町に住む人々の連作。一作目、ソウルからその町へ引っ越すある家族。いわゆる都落ちであり、読んでいると芯から凍えてくる。長屋で、地下室で、恐らくは光州事件で心に傷を負ったサラリーマンが分け入るウォンミ山で、俯きながら、足掻きながら生きる市井の人々。韓ドラにありがちな豪邸も御曹司もいないウォンミドン。リアルで精緻、みっしりとした描写で読後の余韻がいつまでも残る。これも読んで良かった韓国文学作品。2022/01/24