内容説明
ダムの底に沈んだ村、洪水やなだれのために廃墟と化した村、公害と戦った村、かつて大繁盛した鉱山の集落、伝統や文化を今に伝える村、事件の舞台になった村…かつて日本に存在した村の姿がここにある。
目次
1章 人々が追われた村(日本最大規模のダムの底に沈んだ村(岐阜県旧徳山村)
山津波で全村移転を強いられた村(山梨県旧根場・西湖集落) ほか)
2章 繁栄のなごりが残る地(廃坑跡に今も立つコンクリートのやぐら(福岡県旧志免鉱業所)
島がまるごと廃墟になった軍艦島(長崎県端島) ほか)
3章 人の姿が消えた土地(自然に還りつつある東京都内の廃村(東京都旧峰集落)
国立公園の中に残るこけむした石畳の道(三重県元盛松) ほか)
4章 逸話や伝統が残る村(2年ごとに役場を引っ越ししていた村(山口県旭村)
村人の命を救った手掘りのトンネル(新潟県山古志村) ほか)
5章 事件の舞台になった村(廃校に救われた雪山の遭難者たち(島根県旧広見集落)
貧困打破のために人々が決起した村(埼玉県旧粟野村) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみきーにゃ
77
お風呂で読んだ本。様々な理由で廃村になったお話や樹海のお話まで。読みたい本はいっぱいあるのに疲れてる時は何も考えずに読める本ばかり読んでしまう。2021/12/23
黒猫
12
写真付きでサクサク読めた。日本は村社会であったことを痛感させられる。殖産工業の下、多くの金銀銅、硫黄、鉱石の発掘により一時的に栄えた村の末路がもの悲しい。ダムの底に消えた村。故郷が水に沈んでしまいお墓参りすらできない人々に思いを馳せると、悲しみがわく。日本は豊かになったけど、村社会のつながりみたいなものを失ってしまった。軍艦島や数多くの廃墟を面白半分に見るのではなく、そこに暮らしてその場所を去らなければならなかった人々を決して忘れてはいけない。そう感じさせてくれる本でした。2016/08/01
なー
8
★★★★☆ 表紙のおどろおどろしい感じや「封印された」という言葉から連想しがちなオカルトっぽい感じでは全然なかったです。天災や国の都合、企業による災害、経済的理由などで廃村になってしまった土地にスポットを当て、私情などは交えず淡々と取材して分かった事などを書いています。地元の気になっていた土地が載っていたので読んでみました。そこに関しては、ネットなどに載っている事ばかりでちょっとがっかりしました。でも、ネット記事の方が、この本を読んでちょこちょこアレンジして勝手に載せてるんでしょうかね(^^;)2019/10/28
ゆう
8
★★★★☆2014/04/03
みや
6
明治期以降に災害や産業構造の変化などにより廃れていった各地を取材し、それぞれ4ページ程度にまとめられたルポルタージュ。人々の生の営みの温もりと「無常」という事実とが同時に突きつけられる廃墟・遺構には、不思議な魅力がある。若い頃と違って行きたいとは思わないが、そうした興味にさらっと応えてくれる一冊であった。2020/04/12