感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
75
謎のブラジル産バイク、ロシアの宇宙飛行士、伝説の消防士……。主人公の違う短編漫画が重なり、交差し、最後に集結してゆく——これがデビュー作とは!!恐れ入ります。すごい、すごすぎる。2021/07/09
MICK KICHI
71
虚実ないまぜの語り継ぐ歴史ストーリー。その渦中にいなければ所詮史実も虚構も薄皮一枚の違いか。作られた歴史の主人公達がのストーリーがそれぞれエピソードとして語られ、その後、日本を象徴する富士山の麓に何者かの力に引き寄せられ、カタルシスと共に大団円を迎える。シマトラさんのデビュー作だが、そのストーリー・テラーぶりに驚愕を覚える。2019/10/18
∃.狂茶党
4
以前勤めていた店の常連の御老人が、最近のお気に入り作家として推薦してきて約10年。ようやっと読んだ、情報量の多い凝った漫画で、新人とは思えぬ巧みな作りには、並々ならぬこだわりを感じてしまう。引用、本歌取り、メタな視点、映画やSFへの愛情、とても素敵な漫画だ。 2019/09/12
エピクト
3
シマトラの初単行本にして傑作の新装改訂版。どこいらへんが改訂版かはわかんないけど誘惑に負け購入。今だからこそ復刊される意味がある作品でもある。当時SFセミナーで好きな作品の紹介文書く企画があってこの作品の紹介文書いてなんか貰ったな。今でも優れたSFだと思います。2015/03/17
急性人間病
2
富士山がある種の(しかしまあ、フシギな、としか言いようのない)慣性のみによって動くモノたちがぶつかって止まるための巨大な出っ張り、マクガフィンとしてそびえ、慣性運動そのものである円形が、駆動体の車輪、サッカーボール、眼、日の丸、原爆ドームの天井、プラネタリウム、浮遊する黒いタールの球体、惑星そのものとして表れる点において、これほど迂遠な球技に関する漫画はあるまい。これら運動に「もう少しだけ時間を与えたい」という願望は、その徹底した物理性にもかかわらず、どうしようもなく切実にさえ映る。うまく言えないけれど。2023/03/27