感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メイ&まー
11
夢の糸を手繰り寄せるような、異国の文字をなぞるような不思議なお話達。どきどきするような装丁も、一コマ一コマ描き込まれた頁も、最後のピンナップまで本当に素敵。鳩山さんの美意識とものづくりに対する姿勢に憧れます。描き下ろしのうつくしい表題作も、初期の少しじっとりとした「糸底の疵」もどれもよいけれど、アルソミトラ・マクロカルパ君が愛らしくてよかった。翼果、気になります。2013/07/15
いやしの本棚
8
短い一篇、一篇が謎めいて、美しくて…うっとり。ことに表題作は、何度も読み返してしまう。「昔、私は少年で(…)たくさんの鳩を飼育する鳩舎守りだったの」…その「昔」は、遠い未来なんじゃないかなと思った。少年の姿でしか表現できない、イノセントな世界。鳩山郁子さんの漫画では、いろんなモチーフが愛をもってとりあげられていて ―翼果、碍子、アランセーター、貴腐葡萄など ― 、読んでいると、そういった「もの」たちへの新たな眼差しが開かれる。「「もの」と美のかかわりは、魂と聖性のかかわりに等しい。」―シモーヌ・ヴェーユ2018/12/09
R子
6
初期作を含む10編を収録。奇妙な遊びと人々の驚き(恐怖?)を描いた「Parlor Roller 鳩」、捨てた鳩を想う少年の気持ちと磁石が幻想的な風景を生む「鳩を捨てる」、少年時代に貰った珍しい虫の音に時を経て偶然再会する「クサヒバリ」が特に好き。鳩山郁子さんの作品、色々読み返したくなってきました!2013/09/30
ケイゾウ
4
待望の新刊! 10編からなる短編集、今回もページを開いた途端、一気に鳩山ワールドにトリップ! 装丁も中身も本当に素敵です! この独特の世界観にどっぷり浸れる感覚が、鳩山作品に病みつきになる所以。ドロンワークと鳩舎、カケスの羽と地下水脈などの見立て、翼果の擬人化、朝顔盃の糸底の疵など、魅力的なモチーフとそこから広げられる世界に心酔します。どの作品も大好きなんですが、中でも「カケスの森」やコミカルな側面のある「アルソミトラ・マクロカルパ君」「コリンとノルウェイメープル飛行隊」に特に惹かれました。翼果、可愛い!2013/07/22
オシャレ泥棒
2
何故か今「あなたとは、糸底の疵を覆う水の輪のような日々だった」を切なく感じた。2018/08/09