感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
56
60年安保闘争のデモに飲み込まれていくシーンで幕を閉じる。「怒りのエネルギーや!」劇画への思いを新たにする。いかにも映画的なラストシーンだ。トキワ荘とは別の劇画誕生の青春ドラマ。友情や裏切りや葛藤や、青春の情熱と悩み苦しみが全編に溢れている。タイトルの「漂流」とは、まさにこの青春時代を象徴しているようだ。2025/08/20
ぐうぐう
5
劇画が単純に漫画のアンチテーゼとして成立したわけではなく、そこには困窮した生活や出版社の事情、そして各々の漫画家達の思惑があったことが、『劇画漂流』を読むとよくわかる。勝巳にとって幸せだったのは、劇画に批判的でありながらも、客観的で的確な批評眼をもってバックアップしてくれた、病弱な兄の存在があったことだ。その兄の言葉が、勝巳をより広く、深く漫画を理解し、その中における革新の意味を見つけ出す手掛かりとなっていく。そしてその兄により、勝巳の漫画スタイルが「劇画」と称されることも、劇画史においてとても暗示的だ。2009/09/22
seichan
4
マンガ業界の草創期、貸本マンガ業界の波乱万丈、その中でのちの「劇画」青年たちが夢や野心を語りあい、集い、挫折し、時代の波に揉まれてゆくありさま。時代の証言としても面白いのだ。2019/09/07
komi_komi
2
『影』読みたい。社会派推理小説の登場が劇画にまで影響してたんだなあ。2008/12/25
sodium hydride
1
「貸本屋」ではなく図書館で見つけて借りた。最初は「漂流教室」のデラックス版かと勘違いして手に取った(笑)。 同じ図書館で「漫画家たちの戦争 原爆といのち」という6人の作家のオムニバスがあって、その中に辰巳氏の「地獄」があった。他の5作品とは異色で質が頭ひとつ抜けていると思った。 この上下作品で、当時の時代風景を知ることもできる。小説家や学者が「私の昭和史」を出しているが、漫画家の自伝は絵があるだけに当時の雰囲気がよりダイレクトに伝わってきて面白かった。続きも読みたかった。2020/12/10
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