内容説明
カストリ本から「有害コミック」問題まで、マンガの多様性を最底辺で支えながら、文化として無視され続けてきた「エロマンガ」の通史をまとめた初めての書。マンガの“歩く百科事典”だった著者が、急逝直前まで連載していた遺作を単行本化。
目次
エロマンガ前史(カストリ雑誌と漫画誌;昭和二〇年代のエロ・ヴィジュアル;戦後エロマンガ史・番外編)
戦後エロマンガ史(連載開始にあたって;外国漫画の底流と六〇年代;オリンピック前後の大人漫画誌;青年マンガ事始め一九六六;『漫画Q』と『漫画情報』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おーしつ
13
余人に真似できない圧倒的な仕事量。 完結(=現在に追いつく)できなかったのが残念。 願わくばここを根として研究の枝葉が広がり実をつけることを。 2012/09/08
山口透析鉄
12
古書も良いお値段(定価の倍以上)するので、県立図書館に蔵書があるのを確認し、市の図書館日でリクエストしたら、県内の他市より本を借りてきてくれていました。 11/24が返却期限なので、祝日に本の大半を一気読みしました。 故・米澤嘉博さんの膨大な蔵書や知識には敬服するしかないのですが、前半はどうしても通り一遍なエロ雑誌の紹介記事っぽくなってしまっていましたかね。個々の作品に詳しく触れだすとキリがないでしょうから、その辺は一定、しょうがないのでしょうが、著者が関わりだした辺りからの記述は良かったです。2022/11/23
たこやき
9
タイトルの通り、戦後のカストリ本時代から、90年代初頭にかけてのエロ漫画のブーム、表現などを多くの資料と共に追った書。表現方法などの変遷は、読んでもらうとして、本書で感じるのは「低俗な漫画の最底辺」と言われたエロ漫画の存在意義。現在では巨匠とか、お茶の間でお馴染みの作家が、(仮に性描写がない漫画だろうと)そういう雑誌などに参加しており、そこで実力をつけた、というのが肌で感じられる。また、「読み捨てられる」存在だからこそ、時代性などを反映しており、世の中の流れなどを考える上でも良い資料だと思う。2011/04/01
富士さん
7
再読。エロマンガ年代記とでも言うべき記述方法と分量、雑多な内容のため、必要な情報を引き出すのに苦労しました。現在のエロマンガが形を現し始めるずっと前、マンガですらない時代から筆を起こしているため、今のエロマンガの定義には当て嵌らないところがあります。そういう意味でも豊かな情報源でありながら、使い方にはひと工夫必要な資料です。多くのマンガ史を執筆された著者がエロマンガ史を書ききれなかったというのは印象的な事です。エロの持つ底知れなさを感じ、きっと長生きされても本書は完成されなかったのではないかと思うのです。2014/03/04
瞬壱
5
この分野をこれだけ緻密に調査された著者に関心しました!図書館の蔵書にあるのもびっくりでした。アンダーグラウンドの文化は、多分いつの時代も庶民にささやかながらも生きる力を与えていたのではないか、と考えさせられます。2010/11/04
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