内容説明
クトゥルー神話をベースにカルトに支配された社会の恐怖を描いた代表作!
著者等紹介
朝松健[アサマツケン]
1956年、札幌市に生まれる。出版編集者として幻想文学、魔術書の数々を企画、編集。1986年に『魔教の幻影』で小説家デビュー。以降、ホラーをはじめ、ユーモア格闘技小説、時代伝奇小説、妖怪時代コメディなど、幅広いジャンルで活躍。代表作に『朽木の花 新編・東山殿御庭』など。2006年「東山殿御庭」(『朽木の花』所収)が日本推理作家協会賞候補となる。トークイベントにも出演、歯に衣着せぬコメントでファンを沸かせている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イツキ
6
もしナチスの背後にクトゥルフの邪神たちが存在したらという物語。タイトルに反して邪神たちは前面に出てくることは少ないのですが、邪神たちに傾倒して行動していくヒトラーを初めとする人間たちの行動が恐ろしいです。他のクトゥルフ神話をモチーフにした作品とは違った種類の読み味が新鮮に感じられました。2020/04/10
圓
2
「買った記憶がないのに、いつの間にか手元にあった。」というこれ以上ない上質な登場の仕方で手元に来てくれた一冊(実際は、色々とまとめ買いしたので記憶がないだけだと思うんだけど)。相当昔に読んでいるようで、「この物語を俺は昔読んだような気がする。いや、俺は確実にこの恐怖に触れたことがあるぞ!」という感覚に陥った。テッパ=ツェンポ導師に記憶を消されたのかもしれないが。2021/01/27
ケイト
1
復刊・完全版を機にふたたび通しで読んでみて、すこしも色あせていないどころかかえって濃く感じられることにおどろき、おののきました。侵攻や探索やUボートといったナチスの主な歴史を、魔術とオカルトそしてクトゥルー神話で語っている「ホラー作品」なのに、史実だと信じてしまいそうになる迫真性があって。最後の「魔術的註釈」(必読!)もふくめるとより精神をゆさぶられますし、何より、現代とかさなりすぎていて、怖い。読み終えたいまとなっては、どうかすべて虚構で、そんなことが本当にありませんようにと強く祈らずにはいられません。2020/01/10