感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
115
怖いのと怖くないのが混ざっている、不気味ストーリーの短編集。ラヴクラフト的ホラー。一番のお気に入りは『十死街(サッセイガイ)』街角で迷うと知らないうちに踏み込んでしまう裏面の世界。神野十三郎というヒーローが登場する。『球面三角』も秀逸。体を貪り食うクラゲ状生き物がそこかしこに現れる。残酷な描写もあるから、嫌いな人は読まないでね。この先生は、恐怖に耐えられずへらへら笑い出す人物が好きなようで、かなりの話に登場する。2019/04/18
sin
80
著者の『黒衣伝説』を彷彿とさせる“星に乱れる夜”“ゾスの足音”はよくある自意識過剰オカルトで、旧作の徹底して書き込んだ内容と比べてしまうと中途半端な感じは否めない…。“闇に輝くもの”は主題と舞台設定がちぐはぐな印象…。“十死街”スタイルだけのなりゆきアクション作…。“空のメデューサ”=『宇宙大怪獣ドゴラ』か!イメージの鮮烈さに比べて書き急ぎな内容は残念…。“球面三角”まるで一夜の悪夢のようなお手軽な設定だが、この終末感は好き…。“アシッド・ヴォイド”主人公となる彼の人物の作品を知ることで輝く一品と言える。2017/08/29
やんも
12
フハッ、こんなところにも日下さんが! と言うのは脇に置いて、1987年から2017年までの30年間に書かれた、7作のクトゥルフ系(断言しがたい作品もあるからなぁ)小説を収めた1冊。主に室町時代を舞台とする歴史・時代小説はないが、それ以外に作者が手がけたジャンルはほぼこの1冊で読めるのではないのではないかな。自分としては巻頭の『星の乱れる夜』のような、主人公が次第に妄想と現実が混じり合う底なし沼にはまってゆく作品が大好物である。これに神話の要素が加わったのなら、もうよだれが・・・あ、日下さんの解説は必読。2017/07/03
ettyan えっちゃん
8
朝松健のバラエティに富んだ短編が読める。と書いたけど、クトゥルフとホラーばかりだけど(^^) 白鳳坊が出てくる十死街、北海道が舞台の壮大なモンスターホラーの空のメデューサが面白かった。できれば、どれも、長編で読みたかたったなぁ。 2019/11/24
5〇5
3
「これぞ宇宙的恐怖(コズミックホラー)と言える著者ならではの作品集だな」 「現実世界にオーバーラップする不可知の領域からの侵食や未知なるものとの遭遇の恐怖を描くのは手慣れたものね」 「舞台は日本、米国、英国、香港でモチーフも様々。これらが一体となって世界観を構築してる」 「H・P・ラヴクラフトを中心としたクトゥルフ神話の知識があると一層楽しめるわね」2023/01/31