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内容説明
情報があふれ返つているこの時代だからこそ、かつての澁澤龍彦や種村季弘らのように道標を示してくれる存在が必要なのであり、とりわけ埋もれたり排除されがちな異系の作家に関しては、その重要性は高い。本書は、その貴重な成果のひとつであると言えよう。長年にわたって異系の作家ばかりを追い続けてきた相馬俊樹ならではの見地で、非常に興味深い作家たちがここに集められ、それらの図像に秘められた美学が丹念に解題されている。
目次
1 perverted vision(女性写真家が写すラブ・ドールとの狂気の愛―エレナ・ドーフマン;EAU(オー)嬢の物語―アマンダ・ジェームズ&ポール・コンプトン/クロード・フォビール/ジル・ベルケ
子宮のサイケデリック―ニック・ダグラス&ペニー・スリンガー ほか)
2 sadistic‐masohistic vision(ペイガン・ゴッデスの戦慄―ドニ・グルルル;オブジェとしての女の最終形態―グィド・クレパクス;秘匿の画の逸楽―クラウス・ボットガー/リン・ポーラ・ラッセル ほか)
3 japanesque bound vision(和風サバトの狂乱―アントワーヌ・ベルナール;血に酔う被虐の美女たち―月花;緊縛のラビリンス―高橋ジュンコ/渡邊安治 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
marmelo
4
「写真は〈凍結した瞬間〉であり、〈刹那〉である。(中略)さまざまな瞬間を結合することによって、それは次元の新たな秩序、すなわち特異な時空の連続体を創造することが可能となる。」(P37) 瞬間とは連続から切り取られたひとつだから、数々の既知の瞬間から未知のそれを構築しようとするとき、この言説は確か。切り貼りされた一個人の瞬間々々は脈略がないようでいても彼の内部では繋がっている。そして、奇特な作家らの心性が描き上げた神聖や猥雑は、同じ人間である私にも響く。2017/11/20
HANA
2
澁澤や種村の活躍によりある程度の市民権は得たものの、やはり性をテーマとした美術は以前として日陰者の地位にある。これはそんな作品を作る作者達を紹介した一冊。大勢の作家が紹介されているが、既知のものがベルメールのような大御所は別としてトレヴァー・ブラウン、ピエール・モリニエくらいなのは我ながら情けない。やはりこのような入門書は必要だと思う。2010/08/05
水色。
1
述べている人もいるが、やはり澁澤らのように普段は陽の当たらない(当てられない)場所にいる美術家をこのような形で紹介するという試みは非常に大事なもの。2010/11/13
紅独歩
1
掲載のほとんどがS&Mスナイパーである事からも判るように、紹介される作家のほとんどはアンダーグラウンドの領域に棲む者たちである。かつて澁澤・種村が果たしていた「知る人ぞ知る」表現者を、光の当たる場所に出すという試みは重要であり価値あるものだと思う。ベルメールとウニカ・チュルンの奇妙で哀切な共生関係をまとめた「年譜風小文」も判りやすい。しかし……(2に続く)2010/02/11
†はるゆき†
0
ゴチソウサマデシタ(^ω^)