内容説明
少年時代、一年間だけ一緒に暮らした中国密出国者の少女林洋洋。兄妹のようにじゃれあった甘い記憶が、浅井武志の唯一の生きる希望だった。返還の取材のため20年ぶりに訪れた香港で、捜し求めた少女は香港社交界の名花となっていた。亜熱帯の湿った夜風が人々の狂気を誘い、憎悪と愛慕が錯綜し、そして返還の時が刻々と迫る…。返還直前、激動の香港で渦巻く大人のラブストーリー。第二回碧天文芸大賞入賞作品。
著者等紹介
中沢秀彬[ナカザワヒデアキ]
1938年山梨県生まれ。東大農学部卒業後、(株)ニチレイ、日本経済新聞、(株)QUICKを経て、現在『新現実』同人。「父と娘」「仁王門」「釜無川」「如月に生きて」など執筆。1994年から98年まで香港に駐在して、「香港返還」を体験する。『哀秋のビクトリア湾』で、第二回碧天文芸大賞入賞
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- 和書
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