感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
348
1989年から2002年頃にかけて新聞や雑誌などに掲載された記事を集めたもの。他の著作と内容が重なる部分も多々あり、一つ一つの記事は短いのだが、その時々の問題点は集約されている。また中村氏の主張も一貫して変わることがない。中村は言う-「瀕死の小国に世界中の超大国が束になり、果たして何を守ろうとするのか」。そして、残念なことに日本はこの超大国の側に立っているのである。タイトルにもあるように、中村はアフガニスタンの、それもさらなる辺境で医療活動(それは狭義の医療を超えて水の確保にまで及ぶ)に従事するのだが⇒2022/07/24
mondo
20
昨年の12月にアフガニスタンで銃撃に遭い命を落とした中村哲医師が90年代に新聞や雑誌に投稿したエッセイをまとめたもの。昨日も、NHK で中村哲医師の半生とアフガニスタンでの功績を綴ったドキュメンタリーが放送されたが、何故、中村哲医師が銃撃されたのか、この本を読んで理解した。おそらく中村哲医師も殺されることを承知で現地での活動を再開していたに違いない。偶然にも、亡くなる3ヶ月前に中村哲医師の講演会に行って話を伺っていただけに、中村哲医師の人生を通して、後進国に対する先進諸国の認識の違いに落胆する。2020/12/29
tsukamg
4
9.11テロ前、1989年からのことが多く書かれている。湾岸戦争から、タリバーン政権成立あたり。見開き1ページにひと随筆という感じで、アフガニスタンの社会、習慣、そのほか、現地に暮らさないとわからないことがたくさん書かれている。アフガニスタンを知るために、最初に読むといいかもしれない。2021/09/24
みさと
3
先日亡くなられた中村哲医師の手記。前編は、未曾有の大干魃に見舞われたアフガニスタンでの医療活動、井戸と水路の建設、米国による空爆下での国内避難民への緊急食糧配給について。後編は、パキスタン・アフガニスタンの辺境から見た世界と日本に対する警告のようなエッセイ集。ともに、人間に対する信頼があふれる反面、軍事力を行使する大国と援助と称して札束でほおを張るような国際機関のあり方に対する批判が厳しい。「強い者は暴力に頼らない。最終的に破局を救うのは、人間として共有できる希望を分かつ努力と祈りであろう」(P74) 2020/01/17
しゅわっち
3
アフガニスタンで起きたことが、シリアで起き、北朝鮮でも起きる可能性を感じさせる本でした! 当事国を理解せず、自分達の論理押し付けによる破綻を感じました!