内容説明
命綱の田畑のリレー。必ずしも小農は貧農ならず、大農は富農足りえない…多様な担い手が支え、つなぐ「食・農・地域」を卓抜に照らす。
目次
1章 農に吹く烈風、涼風
2章 小農はなぜ持続可能か
3章 農業・農村の変貌から
4章 農の伝道者の教えに触れる
5章 米国・ロシア農業見聞
6章 老い楽の農の身辺 1
7章 老い楽の農の身辺 2
8章 農の明日に見果てぬ夢
著者等紹介
山下惣一[ヤマシタソウイチ]
1936年、佐賀県唐津市生まれ。農業に従事するかたわら、小説、エッセイ、ルポルタージュなどの文筆活動を続ける。1970年、『海鳴り』で第13回日本農民文学賞、1979年、『減反神社』で地上文学賞受賞(直木賞候補)。国内外の農の現場を精力的に歩き、食・農をめぐる問題などへの直言、箴言を放つ。アジア農民交流センター(AFEC)共同代表、小農学会顧問などを務める。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トラッキー
2
七十年間も農業をやってきた、自信と迫力に満ちた遺言に圧倒された。中でも印象に残ったのは、自給型の小規模農業が世界の農業生産の中心で、効率的というイメージのある大規模農業が、実は主流でもなく、かつ作物の物流も考えるとエネルギー効率が良くないこと。しかも大規模な、地下水吸い上げや、農薬使用などで環境負荷も高いとなれば、日本でももっともっと自給型の小規模農業を増やさないとと思えてきた。2022/08/20
ゆうろう
0
「百姓」作家・山下氏の近著。残念ながら遺作となってしまった。衷心より哀悼の意を表したい。P18「昨日のように今日があり、今日のような明日がある。そんな世、そんな人生が私は好きだ。」に頷く。百姓という言葉に対しても、P44「言葉そのものに差別はない。差別を感じる人の心の中に差別があるのだ。」と正に然りだ。P28「百姓の強さ、豊かさというのは結局カネに依存しない部分を持っているということ」等々、得心の連続で為になる本だった。P65「①拡大よりも持続②成長よりも安定③競争よりも共生」の思考を俺も大切にしたいな。2022/11/15
ジュースの素
0
山下さんの遺言としてある。彼はたくさんの勉強をして農政への批判も多い。彼の身近に暮らす人たちはどう思っているのだろう。あちこち世界の多くの国へと見学に出ていて、この本にもロシアのダーチャの事が載せられている。都市を潰せと言うがある意味ホントだと思う。2022/10/14