内容説明
滋賀県北部の琵琶湖に注ぐ高時川(丹生川)流域の七つの村。そこには、自然や神仏と接する濃密な時間と空間があった。自然とともに生きてきたつつましい暮らしが、土俗信仰の祈りとなって生き続けてきたようだ。戦後の高度経済成長期にあった昭和四十年代。筆者は集団離村のニュースを聞き、七つの村(奥丹生谷)の取材に入る。
目次
第1章 奥丹生谷七つの村
第2章 豪雪の村
第3章 祈り
第4章 暮らし
第5章 分校
第6章 遷座(神を移す)
第7章 離村
“懐かしい未来”を照らす希望の写真集に(吉田一郎)
対談 大西暢夫×吉田一郎「山に生かされる」
吉田一郎写真展「琵琶湖源流の美と暮らし」
離村者たちの今、昔
著者等紹介
吉田一郎[ヨシダイチロウ]
1942年、長浜市国友町生まれ。湖北アーカイブ研究所所長。長浜市役所勤務のあと、長浜城歴史博物館館長、国友鉄砲ミュージアム館長などを歴任。カメラを持ち始めたのは市役所の広報担当職員時代から。父祖から受け継いだ田畑を耕作しながら、地元の暮らしや民俗を取材し続ける。ペンネーム国友伊知郎で著した『北近江 農の歳時記』(サンライズ出版、2001年)、『湖北賛歌』(吉田一郎著作刊行会、2001年)が二冊セットで、第五回日本自費出版大賞を受賞(2002年)。ふるさと湖北を題材にした本が多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
7
22年3月刊。製炭業の衰退とダム計画によって集団離村が行われて消滅した湖北の7つの集落について、その在りし日とその後の姿を半世紀にわたって記録し続けてきた吉田一郎氏の写真集。70年代に離村した集落はともかく、95年まであった村々の姿は見ていると今でもまだあるのではないかと思うような臨場感です。吉田氏の写真は昨年秋に展覧会が開かれましたが、そこに集まる出身者達の姿がまたいい。とりわけ202~203ページに記されるエピソードは、写真がもつ力をこの上なく示したもので、心打たれます。2022/03/26
tnk
0
豪雪やダム計画で立ち退いた湖北の集落を記録。離村して更地にした後の計画中止では、やり場のない複雑な気持ちになったろう2023/06/04