感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソーシャ
3
児童文学に熱い思いを抱く著者が、大人向けの小説とは違う児童文学の創作について、歴史や物語論をもとに論じた本(ちょっと理想論の色彩が強い個所もありますが)。児童文学の創作は簡単そうというイメージがあったのですが、児童向けゆえの難しさがあるのだということをこの本は教えてくれます。児童文学の歴史は、いわゆる「低俗な大衆的作品」と「芸術的な作品」の対立が昔からあったようで、形を変えて何度も繰り返されている議論なのだなと感じました。児童文学史については教育史の背景知識があるとより理解しやすいと思います。2016/03/26
ヴェルナーの日記
0
児童文学といっても、とどのつまり、どんな小説の創作方法に通じる文学理論を展開している。人称問題、登場人物の構成、物語の構造、時制の問題(テンスとアスペクト)、文体など、正当な文学理論に基づいていることは、しっかりと基本を踏まえている。 小説を書く者にとっては常識的な事柄ではあるが、著作者における児童文学に対する真摯な態度に好感を持った。2012/12/29