出版社内容情報
このところ毎年イタリアに出掛け、エトルスクやそれ以前の先史時代の遺跡遺物が、その時代の文明の中心ギリシャとの交流によって地域における独自の文化を形成した様子が、東アジアの文明の中心中国の影響を受けた日本と様々な類似点のあることに興味をもつようになった。本書の論考は年とともに遺跡発掘現場から離れ、各地の発掘調査やその後の整備の委員しかやらせてもらえない老人の繰言である。
本書は、日本の考古学と西洋や中国の考古学の現状を比較した試論を中心に、史跡行政の歴史や、特に現今進行中の地方分権問題により今以上に全国埋蔵文化財行政に地域格差が生じる恐れのあることを危惧した老婆心から書いたものや、新聞コラム、対談のほか、身近な人々について書いたものである。(あとがきより)
・ 考古学の新時代
記念物保護行政によせて/考古学の新時代/歴史学と遺跡学/史跡指定の歩み/発掘された古代史と文化財保護五〇年
・ 東西比較の考古学
瓦の起源の東西比較/中国建築余話/ヨーロッパの先史城塞/法門寺と慶山寺の舎利瞥見/築地塀の由来/一本造り軒丸瓦 について/法隆寺の考古遺物/百済観音堂の瓦等について/石山貝塚から粟津貝塚まで/1950年代の土器研究と古墳研究の状況/考古学と模型/文化財と測量/文化財写真に思うこと
・ 標 的
幼児一時預け所/琉球民族の起源/広報誌と文化財/「主食」ということば/赤トンボということば/もうけの論語/出かせぎの次に/抜け穴/経済主義反省の場所/朝鮮語辞典/平均年齢/平城京の復元/プロ意識/環境汚染測定法/アイヌの文様/柔らかい行政/景観保全と市民/退職公務員/食形態と栄養/医師の倫理/ディスカバー・ジャパン/ラビリンス/第三セクター/日本語英語/水は大丈夫か
・ 東京考古学会のサムライたち
2000年新春対談/ 東京考古学会のサムライたち/小林行雄先生を悼む/関西時代の藤森栄一/写真・モジャハン・考古学/文化記者青ちゃん/父 坪井良平
文化功労者賞受賞記念出版
内容説明
本書には史跡行政の歴史や、特に現今進行中の地方分権問題により今以上に全国埋蔵文化財行政に地域格差が生じる恐れのあることを危惧したもの、水野正好氏との対談のほか、身近な人々について書いたものなどを収めた。
目次
1 考古学の新時代(記念物保護行政によせて;考古学の新時代 ほか)
2 東西比較の考古学(瓦の起源の東西比較;中国建築余話 ほか)
3 標的(幼児一時預け所;琉球民族の起源 ほか)
4 東京考古学会のサムライたち(2000年新春対談;東京考古学会のサムライたち ほか)