出版社内容情報
ヌヤン(聞きなさい)・ヌカラン(見なさい)・ピラサレヤン(広げなさい)
「アイヌ新法」成立以降を検証する―――――――――
「ことば」こそ民族の証――アイヌは民族としての自文化をどう次代に伝えていくのか。アイヌ文化の保存・伝承には、いかなる施策が求められているのか。多文化時代の共有財産である「アイヌ文化」の意義を探り、現在の課題を議論、報告する。
PART1 IN TOKYOU
一、アイヌ文化はどう継承されていくのか
アイヌ文化の生成ー考古学の視点から/吉崎昌一
アイヌ民族博物館と伝承活動/野本正博
文化伝承の創意・工夫・課題ーアイヌ学芸員の仕事か ら/津田命子
二、アイヌ語教室とアイヌ語の未来
アイヌ語教室とアイヌ語の未来/中川裕
登別アイヌ語教室の試み/上武やす子
アイヌ語子ども教室と私の体験/貝澤裕子
三、アイヌ民族の復権運動と今後の展開
民族復権の歴史/秋辺得平
首都圏のアイヌ運動と実践/知里むつみ
四、近代アイヌ史への序章
近代アイヌ史への序章に寄せて/佐々木利和
教育相談員から見た差別の実相/小川隆吉
五、世界のなかで見るアイヌ文化
北方少数民族とアイヌ文化/荻原眞子
先住民族国際会議に参加して/チカップ美恵子
六、シンポジウム・アイヌ新法が問いかけるもの
司会=吉崎昌一
ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会がめざした ものーその報告の成果と特徴 /佐々木高明
「報告書」と「新法」の法的性格とその評価/吉川宏和 アイヌ文化の実践者から見た「新法」とその
序にかえて 萱野 茂
アイヌ新法が制定されてから丁度、1年になります。37文字からなるこの長い名の法律(「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」)にはいろいろな批判もありますが、国が法律のなかで私たちアイヌを固有の言葉と文化を持った「民族」と定めたことの意味は、とっても大きなことと思っています。
近代日本がすすめた同化政策は、まずアイヌの土地を奪い、文化を破壊し、言語を略奪しました。明治32年に制定されて以来、98年も生きてきた「北海道旧土人保護法」はアイヌを劣った民族と扱い、そのために長い間、アイヌは生活の困窮や就職・結婚の差別にさらされてこました。
一方、アイヌ新法は、アイヌの自ュ的発想を尊重したアイヌ文化が柱になっています。そして昨年7月に設立された財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の事業では、アイヌ語の復活や木彫り・刺繍などの伝承事業が取り入れられ、国内外との様々なアイヌの交流事業にも助成金が出ています。そしてまた、アイヌ文化が博物館の中だけでなく現在も各々の地域で暮らしの中に脈々と生き続けていることを見るとき、今こそアイヌが民族とし
内容説明
「アイヌ新法」成立以降を検証する―。「ことば」こそ民族の証―アイヌは民族としての自文化をどう次代に伝えていくのか。アイヌ文化の保存・伝承には、いかなる施策が求められているのか。多文化時代の共有財産である「アイヌ文化」の意義を探り、現在の課題を議論、報告する。
目次
1 IN TOKYOU(アイヌ文化はどう継承されていくのか;アイヌ語教室とアイヌ語の未来;アイヌ民族の復権運動と今後の展開;近代アイヌ史への序章;世界のなかで見るアイヌ文化;シンポジウム・アイヌ新法が問いかけるもの)
2 IN OKINAWA(ユカラを語る;アイヌ文化と沖縄文化―日本文化との比較の視座から)