出版社内容情報
いま読み返す―アイヌ民族の近代の歩みと言論の記録を集成!
第一部 樺太アイヌ申上書 近文アイヌ給与地紛争記録
天川恵三郎手記/栗山国四郎翁手記/荒井源次郎上京 日誌/近文土地紛争文書/浜益村給与地請願書
第二部 良 友(虻田土人学校良友会) ウタリグス(アイヌ伝道団)
ウタリ乃光リ(チン青年団)
ウタリ之友(ウタリ之友社)
アイヌ新聞(アイヌ問題研究所・アイヌ新聞社)
全道アイヌ青年大会(関係新聞記事)
旧土人保護施設改善座談会(『北海道社会事業』)
第三部 アイヌ物語(武隈徳三郎)
アイヌの叫び(貝沢藤蔵)
新聞・雑誌投稿 解平運動(森竹竹市)/アイヌより 観たブルジョアジー(M・K生)/一アイヌ の手記(川村才登)/見世物扱ひを中止せよ(森竹竹市)/ウ タリーへの一考察 (森竹竹市)/アイヌ族よ起て(早 川政太郎)/長官と同族へ(清川三蔵)/アイヌ の 名を廃せ(白老コタン生)
朝日新聞 1998.3.29
もうひとつの植民地覚醒へと向かう記録 赤坂憲雄
アイヌ民族をめぐる状況はいま、大きな変容を遂げつつある。昨年は、二風谷(にぶたに)ダム訴訟で、アイヌを先住民族として認める判決が下され、「旧土人保護法」の代わりに「アイヌ新法」が成立した。そこに、この大部の資料集が刊行されたことの意味は、かぎりなく大きい。旧版を元にして、近代におけるアイヌ民族の言論の記録を中心に編み直された資料集である。アイヌ自身の生々しい声が幾重にも交錯し、谺(こだま)している。現在に地続きの問いの群れだ。
「土人」といい、「滅びゆく民族」という。言葉の暴力がむき出しに転がっている。「滅びゆく民族」は哀愁に包まれ、同情を呼び、見せ物の舞台に引き出され、保護を必要とする人々となる。和人とその国家・日本こそが侵略と収奪の主体であったことは、巧みに隠ぺいされる。沖縄とは異なった、もうひとつの植民地の荒涼たる景観が横たわっている。
傷つき、足掻きながら、迷いと逡巡にみちた自問自答がくりかえされる。アイヌは遅れた、滅びゆく民族なのか。保護とは何か。奪い尽くすことと引き換えに与えられた保護、それが自立への道を閉ざして
【すいせん者】
★新崎盛暉(沖縄大学教授)■アイヌ民族の発言を掘り起こす本書は、均質的国家の硬い殻を破ろうとする多様な少数者集団にとって共通な価値を持つだろう。
★笹村二朗(北海道ウタリ協会理事長)■先人達の言論活動から先人が闘ってきた軌跡を学び直してこれからアイヌ民族の子孫が暮らしやすい方策を考えたい。
★永井秀夫(北海道大学名誉教授)■私達は本書に出てくるアイヌ民族の怒りや悲しみに耳を傾けて、アイヌの置かれてきた位置を読みとらねばならない。
内容説明
アイヌ民族、近代の歩みと言論の記録集。
目次
樺太アイヌ申上書
近代アイヌ給与地紛争記録
浜益村給与地請願書
良友
ウタリグス
ウタリ乃光リ
ウタリ之友
アイヌ新聞
全道アイヌ青年大会
旧土人保護施設改善座談会
アイヌ物語
アイヌの叫び
新聞・雑誌投稿〔ほか〕