出版社内容情報
よみがえる未曾有の大地震!
今から77年前、大正12年9月1日、午前11時58分、マグニチュード7.9の大地震が関東一円を襲った―――
当時の文学者たちはそこに何を見たか、生々しい記録と図版資料による大災害の再現。
第・部
二百十日の前日-9月1日午前11時58分44秒-関東一円の大激震-箱根・横須賀・横浜・東京
の大破壊-コレア丸の第一信-次つぎと襲う揺り返し-東京市内88カ所から火の手があがる-
家財道具をかかえた避難民の群れ-地割れと津波による被害-業火の下を逃げまどう人間-被
服廠跡-焦熱地獄-生きた人間が然える-人の世の終わり-死屍累々-鼻をつく異臭-吉原弁
天池の惨-紅蓮、都の夜を炊く-戒厳令を布く-恐怖の流言蜚語-理性を失った民衆と軍隊-
自警団の横行-朝鮮人・中国人そして社会主義者、虐殺さる-一望の廃墟-Help Japan!-水
とんとバラック生活-復興に向けて
第・部
1 阿鼻叫喚の熱地獄
火で死なうか、水を選ばうか 舟木芳
泥水の中
せめて母だけ
焦熱地獄見聞実話
死体の匂ひ 田中貢太郎
死灰の都をめぐる-災害翌日の大東京
被服廠あと 中村詳一
悲しき追懐-廚川白村博士の死 廚川蝶子
当日飛行機の活躍 大蔵飛行士
地方の惨状
2 流言蜚語と虐殺
大震災後記 生方敏郎
自警団の活躍(並にその功罪) 横井春野
恐怖の一夜 曹 仁承
十五円五十銭 壷井大震火災に関する児童の感想
社会的震火災はこれからである 生田長江
〈コラム〉
有辜者は注意 金庫破り 気味の悪い職業 大仏様がゐざり出た天変動く(与謝野晶子) 無題(相馬御風) 或る学者(加藤咄堂)震災川柳集(抄) 全市暗黒の第一夜 地震後の川柳(生方敏郎)無題(岡本かの子) 焦土の都にて(荻原井泉水) 本郷の大杉栄氏や大井の山川均氏に
イタリアの哲学者クローチェは「あらゆる歴史は現代史である」と記し、日本の美術史家岡倉覚三は「歴史なるものは吾人の体中に存し、活動しつつあるものなり」と言いましたが、私たちにとっては、現に傍観者的当事者として存在している現実の歴史でさえ、実感することは容易でありません。ましてや本書でとりあげた関東大震災は、編著らの生まれる前の歴史的事件です。
どうすれば関東大震災の全体を感じうるか?
近くは阪神でも、有珠山でも多くの人々が被害に遭いました。
マスコミの報道はかつてとは天地の差があります。
問題は、我々の想像力なのではあるまいか、と思います。
内容説明
今から70年前、大正12年9月1日、午前11月58分、マグニチュード7.9の大地震が関東一円を襲った―当時の文学者たちはそこに何を見たか。生々しい記録による大災害の再現。新発見の写真多数と生地獄を活写したスケッチと絵で大震災を立体構成!当時厖大に書かれた体験記、見聞記を種々な角度から精選した大災害の実録。
目次
1 阿鼻叫喚の熱地獄
2 流言蜚語と虐殺
3 文学者たちの眼
4 震災後の生活