出版社内容情報
"北海道(アイヌモシリ)の山河の匂いが立ちのぼる!
本書は、アイヌ語が生活に生きていた明治初期の北海道をくまなく巡向調査し、アイヌの古老に聞き、8年の歳月をかけて完成した北海道地名集成の最高の書である。
永田方正は本書を字引体で作ろうとして果さなかったが、今回詳細な索引を付して使い易くしたことで彼の初志は果された。収めるところの地名約6,000、そのなかからアイヌモシリ・北海道の山河の匂いが立ちのぼる。北海道の地名およびアイヌ語を研究する者で、本書の恩恵を蒙らない者だれ一人もない、アイヌ地名の宝庫である。"
国郡
石狩国
後志国
渡島国
胆振国
日高国
十勝国
釧路国
根室国
天塩国
北見国
無責任でいいかげんな本があ量産される一方で、出版の不振や「本が読まれなくなった」傾向がよく指摘されるが、反対に「よくぞこんな労作を」と感嘆させられる良心的刊行も決して少なくない。一般書の書評としてとりあげられることも少ないであろう最近のそんな例を紹介したい。
永田方正著『北海道蝦夷語地名解』。明治24年に出た名著の初版本を完全復刻した上、総索引を付したアイヌ地名6000語の研究・記録である。アイヌ語空間が生きていた初期の北海道を、たとえば知床半島や積丹半島にいたるまで訪ね歩き、可能な限りアイヌ古老に原意を確認してゆく作業は8年間に及んだ。菊判616ページというこの大著に、採算割れの冒険を冒して出したのが、全社員わずか2人の零細出版社であるのも象徴的だ。 (1984.10.1 朝日新聞)
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