内容説明
台湾におけるディアスポラ経験の歴史的構造と文化的越境。移民・植民・遺民―台湾の歴史に刻まれた多層的なディアスポラ経験は、地域的特殊性を超えて世界史的普遍性を帯びる。本書は、1930年から50年代の台湾の文化再構築、言語政策、文学の越境と再生を通じて、アイデンティティの揺らぎと文化的意味の生成を探る。制度分析と個人の語りを交差させながら、台湾という場における「存在/不在」の歴史的位相を照射する。
目次
故郷と異郷(張深切における政治と文学―自伝作品に映された人生の足跡;楊基振とその時代―日記に写されたある台湾知識人の心理変化;台湾知識人における「抗日戦争」)
戦後台湾文化の再構築(戦後台湾における「国語」運動の展開―魏建功の役割をめぐって;戦後台湾における中国人木版画家黄栄燦の足跡―魯迅木版画思想伝播の役割をめぐって;流用(appropriation)と統合(integration)―戦後台湾における台湾研究の展開)
テキストの越境と再生(「藤野先生」は台湾へ;越境者の越境と虚構―陶晶孫「淡水河心中」論;歴史・記憶とディスクール―朱天心『古都』論;台湾の文学から台湾文学へ―台湾文学の日本語訳とパラダイムシフト)
余滴(興民と小説の位置づけ―許寿裳遺稿「中国小説史」初探;台湾文学作品における台湾語―エクリチュールの邦訳問題を考える;マレーシア華人の文化郷愁と原郷の追求―『吉陵鎮ものがたり』を読む;書評 比較の視野による抒情伝統論―陳国球『抒情伝統論與中国文学史』について;書評 融合の地・香港文学史の構築―「香港文学大系1919-1949」を評す)
著者等紹介
黄英哲[コウエイテツ]
1956年、台北市生まれ、台湾師範大学文学院歴史学系卒業。立命館大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了、博士(文学)。関西大学論文博士(文化交渉学)。現在、愛知大学現代中国学部教授。専門は台湾現代史、台湾文学、中国現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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