内容説明
広東モデルなくして中国の台頭はなく、こんにちの中国モデルもなかった。本書は、台商の果たした役割を射程に、珠江デルタ地域での長期の現地調査で得た実証的データをグローバル価値連鎖理論に依拠して解読する。台商と在地体制・官僚の同盟関係とその終焉、資本家と国家による農民工への二重搾取、自前の価値連鎖の構築を図る中国の目論見とその制約要因などを論じ、「レントシーキング開発国家中国」の概念を打ち出す。世界が中国の政治・経済の先行きに強い関心を持つ今、本書は全く新しい視座を提供する。
目次
序章 台商、中国、世界
第1章 世界の工場を造り出せ
第2章 広東モデルの起源・パフォーマンス・変遷
第3章 台陽公司 1979‐1994年
第4章 台陽公司 1995‐2010年
第5章 民工階級:身分における差序・二重の搾取・労働体制
第6章 広東モデル転換期の台湾企業と中国企業
第7章 グローバル価値連鎖とレントシーキング開発国家
第8章 結論―罠と挑戦
著者等紹介
呉介民[ゴカイミン]
中央研究院社会学研究所研究員、国立清華大学社会学研究所併任教授。元ハーバード大学フェアバンク中国研究センター・ポストドクター。国立清華大学現代中国研究センターの設立に関与。著書『尋租中國:台商、廣東模式與全球資本主義』(臺大出版中心、2019/2023)は台湾で複数の賞を受賞。Rival Partnersは米国社会学会より2023年「国際研究者によるグローバルおよびトランスナショナル社会学最優秀書籍賞」を受賞
日野みどり[ヒノミドリ]
博士(学術)(大阪外国語大学)。金城学院大学助教授・教授、同志社大学教授を経て愛知大学国際問題研究所客員研究員、愛知大学大学院非常勤講師。元アメリカ・東西センター訪問研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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