内容説明
バルザック『知られざる傑作』の、究極の美を求めた果てに破滅する主人公フレノフェールこそ「私だ」とセザンヌは自分を指さした。画家をめざす友を信じて励まし続けてきたゾラ。だが彼の小説『制作』はセザンヌの探求する“美”を理解しえないことを晒し、二人は決別する。二つの小説を手がかりに、近代美術誕生期の芸術観とその渦中で生きた者たちの友情の機微に深く分け入る。
目次
第1章 画家たちにとっての『知られざる傑作』
第2章 『知られざる傑作』という小説
第3章 様々な自然主義
第4章 セザンヌとゾラの人生の門出
第5章 ゾラの誕生とアカデミー絵画
第6章 近代絵画と二つの自然主義
第7章 ゾラ=セザンヌの反印象主義とセザンヌの絵画哲学
第8章 真実の絵画
著者等紹介
佐野栄一[サノエイイチ]
1951年、北海道旭川市生まれ。青山学院大学院博士課程単位取得済退学。流通経済大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
6
面白かった。20年以上の大学紀要まとめ。著者の専門はバルザック。堅実にセザンヌとゾラの関係を中心に調べ、独自の観点から非常に読みやすい文章力でまとめている。二人の印象派の理解・受容に関して、セザンヌよりもむしろゾラが主導的であったという主張は納得できる。その一方で、『作品』による「絶交」説を覆す反証を三つほどもあげながらも、ただリウォルドのみに依拠してそこに固執するのが不思議。ゾラには印象派が理解できなかった「痛ましい事実」を主張するが、それが1880年前後の同時多発的な印象派離れと同期していることを見逃2024/11/21
Go Extreme
1
画家・『知られざる傑作』: バルザック ピカソとヴォラール ヴォラールとセザン 『知られざる傑作』・小説: セザンヌの絵画芸術観 ドラクロワのロマン主義絵画芸術論 様々な自然主義: 不可解なセザンヌ セザンヌの出発・上京と絵画修業 マネの絵画技法 セザンヌとゾラの人生の門出: ゾラの誕生とアカデミー絵画 近代絵画と二つの自然主義: ゾラの自然主義と印象派の自然主義 自然主義絵画 セザンヌとゾラ決別 ゾラ=セザンヌの反印象主義とセザンヌの絵画哲学 真実の絵画: バルザックの文学哲学思想 ゴーティエの芸術論2024/10/04