内容説明
シリア内戦10年「今世紀最悪の人道危機」、自分の命もいつ絶たれるか分からない日々のなか、かれらは“日本語”を学びつづけた!過酷な戦火のもと、なぜ学生たちは彼方の地のことばを学びつづけたのか?シリアと日本を結ぶ人々が届ける友情の物語/メッセージ。
目次
第1章 アレッポ生まれのわたしと日本語との出会い
第2章 アレッポ大学学術交流日本センター
第3章 内戦のはじまり
第4章 戦場となったアレッポ
第5章 日本センターの奮闘
第6章 戦火のなかのジャパンフェア
著者等紹介
優人[ユウト]
アフマド・アスレ。1991年、シリア・アラブ共和国アレッポ生まれ。アレッポ大学経済学部卒。同大学術交流日本センターにてボランティアスタッフを務め、学生への日本語教育や部活動の指導、ジャパンフェアの企画運営をはじめ中心的役割を担う。学業、家業、赤新月社、UNICEF、UNHCRでのボランティア活動など多彩な場で活躍するとともに、戦争で深い傷を負った祖国の復興のため、日本に留学し、日本の戦後復興や中小企業経営について学ぶことを志している
小澤祥子[オザワサチコ]
1980年生まれ。東京外国語大学アラビア語専攻卒。2005~06年シリア留学。編集者として活動するかたわら、留学中に知りあった中東・コーカサスの人びととの交流をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わかば
2
シリア内戦のなかでも、日本語を勉強し続けることに希望を見出しその毎日を日本語で綴った奇跡のような本。こんなにも日本に思いを馳せ、日本語を勉強している人がシリアにいることを日本人はどのくらい知っているだろうかと思う。ぜひ手にとって読んでもらいたい。また、戦争下であっても、学びを止めないこと。そうやって希望をつなぐことがどういうことなのか考えさせられるとともに勇気を与えられた。この本を作ってくださったことに感謝したい。2021/09/11
relaxopenenjoy
1
著者はアレッポ大学の日本センターに学んだ。シリアで内戦が始まり、隣国へ、ヨーロッパへ、多くの国外避難民が出た認識であったが、彼はアレッポにとどまり続ける。政府軍と反体制派が街を二分することになったアレッポに住み、学び、死と隣合せの生活をしていた期間も…(スナイパー狙撃、とかはサラエボの描写をも思い出す)…現在は政府軍が完全に掌握し、戦下状態ではないとのことだが、人々が戻るのにあと何十年もかかることか。美しい古都アレッポの街並みも壊滅的被害を受けているのだろう、だが著者はポジティブで前を向く!2024/11/18
冬将軍
1
シリア紛争が始まってから11年。今も多数の難民、国内避難民(IDP)が帰還できないまま、国際的な理解も乏しい(体制批判から欧米諸国、アラブ湾岸諸国、トルコが未だに制裁を続けている)せいもあって復興が遅々としている。そんな中で日本に憧れを抱き、平和を希求するアレッポの一般(一般と呼ぶにはあまりにも志の高い優秀な)市民の記録。現在進行中のウクライナ情勢の行方を思わずにはいられない。2022/05/16
えいこさん
1
「学ぶ」ってなんだろうな〜。人にとっての「学び」を、根っこの部分から考え直したい。2021/10/03