内容説明
本書に通底する基本的なテーマは、社会における言語問題および言語政策・言語教育政策である。言語をめぐる昨今の議論や動向をみてみると、世の中の危うさが浮き彫りとなる。「グローバル時代だから」「多文化共生のために」「バリアフリーをめざして」などの美辞麗句が並べられ、誰も反対できないようなスローガンが掲げられる―。そんなときにこそ、日常生活に根付く言語問題・言語(教育)政策の背後にある諸問題を明るみに出し、批判的な眼差しを持ち、思考停止に陥ることなく、本質を見失うことなく議論していかねばならない。
目次
少数言語は21世紀を生き残れるのか―スペインの地域言語をめぐる問題から考える
多言語社会ルクセンブルクにおける言語イデオロギーの「対抗」
台湾における「外国にルーツを持つ人々」のための言語支援―外国籍配偶者と外国籍労働者を中心に
インドネシアの「統一の中の多様性」―言語という枠組みによる集団の諸相
「対抗しない」アフリカ型多言語主義の可能性―タンザニアの言語状況を事例に
対抗する言語としてのアイオレオ語―ボリビア・パラグアイ国境線からのまなざし
日本における日本語教育政策とその課題
英語教授法をめぐる言説に内在する権力性
対抗するための言葉としての「コミュニケーション」―英語教育の現場から
言語的弱者への見えにくい排外主義と対抗理論―障害者を中心に、外国人・非識字者も視野に入れて
怒りの隠蔽―聞き手に怒りをもたらす言語機能について
著者等紹介
柿原武史[カキハラタケシ]
現職、関西学院大学商学部教授。専門、社会言語学、スペイン語圏を中心とする言語政策研究
仲潔[ナカキヨシ]
現職、岐阜大学教育学部准教授。専門、社会言語学、言語文化教育学(英語)
布尾勝一郎[ヌノオカツイチロウ]
現職、佐賀大学国際交流推進センター准教授。専門、日本語教育、日本語教育政策、社会言語学
山下仁[ヤマシタヒトシ]
現職、大阪大学大学院言語文化研究科教授。専門、社会言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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