出版社内容情報
美術史研究では敬遠されてきた感のある、芸術作品の金銭的価値という側面。だが近年、経済史、政治史、文化史などと連携し、芸術作品を経済行為の中に置き直すことで制作の実態や、制作者・受容者の美的感性に対してまで従来とは違う、新鮮な切り口が得られることがわかってきた。活発に進む「美術市場研究」のいま。
〈特集:美術市場と画商〉
●座談会
美術市場と画商
奥西孝至+尾崎彰宏+加治屋健司+小林?子+陳岡めぐみ+圀府寺司[司会]
●論文
福本 薫
《キージの壺》――東方化様式期のエトルリア陶器市場における神話表現
フィリップ・フェルメイレン 河内 華子[翻訳]
ブリューゲルの時代の芸術と経済――16世紀のアントウェルペン美術市場
エリック・ヤン・スライテル 尾崎彰宏・山田今日子[翻訳] 青野純子[解題]
黄金時代における美術市場での価格決定をめぐる序論
上原 真依
19世紀イタリア美術市場におけるルネサンス期祭壇画――ミラノの修復士にしてディーラー、アントーニオ・フィダンツァに関する未刊行文書を中心に
陳岡 めぐみ
グーピル社の1世紀
池上 裕子
ポロックとマーケット――抽象表現主義の価格形成
●研究ノート
秋山 聰
妻の力――初期近世ドイツにおける共同事業者としての画家夫婦について
尾崎 彰宏
ヒエロニムス・ボッスの革新とそのリバイバル――美術市場が創る新しい感性
宮崎 直子
趣味の歴史――フランシス・ハスケルの著作について
●展覧会評
井口 俊
「ポール・デュラン=リュエル、印象派の賭け」展(パリ、リュクサンブール美術館、2014年10月9日?2015年2月8日 ほか)
●シンポジウム報告記
安藤 智子
印象主義と美術市場、ポール・デュラン=リュエル
●資料
圀府寺司+山本遊[編]
文献リストと解題+画商関連情報
〈特集以外〉
●展覧会評
太田泉フロランス
「聖王ルイ」展(パリ、コンシエルジュリー、2014年10月8日?2015年1月11日)
「西洋美術研究」編集委員会[セイヨウビジュツケンキュウヘンシュウイインカイ]