内容説明
ヨルモの結婚において、女性は生家から婚家へと贈与されるモノと位置づけられる。もちろん、社会が女性をどう位置づけようとも女性=人間はモノになるわけがない―彼女達は常に行為者であり、そうあり続けてきた。社会的に行為する力を剥奪されつつも、自らの生をそれぞれに切り拓いてきた女性達の生を、その語りの陰翳に寄り添って描きだす。
目次
第1章 ジェンダーをやる/やめる―ネパール・ヨルモ社会における女の実践、男の実践
第2章 「私は行かないといった」―女性達の結婚をめぐる語りにみるエイジェンシー
第3章 嫁盗り婚の抹消―女性達の「語らない」エイジェンシー
第4章 「女に生まれて厭じゃない」―女としての受難、女としての自己肯定―ダワのストーリー
第5章 「女は行かなければならない」―婚姻規範への(不)服従―ニマのストーリー
第6章 お茶のカップは受け皿にのせて―世界/ヨルモの片隅で、フェミニズムを語る‐ドマのストーリー
終章
補論 消え去りゆく嫁盗り婚の現在―ヒマラヤ山地民の言説実践における「近代」との交叉をめぐって
著者等紹介
佐藤斉華[サトウセイカ]
1966年、東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は文化人類学、ヒマラヤ地域研究。2002年より、帝京大学教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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