内容説明
「共生」の名のもとに、なにが行われているのか。多文化「共生」が唱えられてすでに久しい。しかし「共生」の名のもとに、なにが行われているのか。マジョリティのいう「共生」はマイノリティにどう受けとめられているのか?ことばの問題を通して、「共生」の内実を問い、図式化され、消費される「共生」を救い出す試み。
目次
第1章 「共生」への視点としての言語権―多言語的公共圏に向けて
第2章 「ことばの魔術」の落とし穴―消費される「共生」
第3章 在日ブラジル人を取り巻く「多文化共生」の諸問題
第4章 ホスト住民が持つ外国籍住民との相利共生意識
第5章 「共生言語としての日本語」という構想―地域の日本語支援をささえる戦略的使用のために
第6章 地域日本語支援活動の現場と社会をつなぐもの―日本語ボランティアの声から
第7章 共生の政治と言語
第8章 談話に見られる人種差別の否認
おわりに 机上の理論を超えるために
著者等紹介
植田晃次[ウエダコウジ]
現職:大阪大学言語文化研究科教員。専門:社会言語学、朝鮮語学
山下仁[ヤマシタヒトシ]
現職:大阪大学言語文化研究科教員。専門:社会言語学、ドイツ語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobu A
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先日、某研究会でのブックバザールで購入した2011年初版本を読了。最近、頻繁に見聞きし、一人歩きしている「共生」を7本の秀逸な論文が批判的に検証。ヤドカリとイソギンチャクの関係性のような生態学の「相利共生」が人間社会に適応され、久しい。現在、行政、教育、一般市民レベルで様々な活動が実施されているが、「共生」の使われ方が同化や差別の実態を不明瞭にしていると指摘し、その可視化に挑む。幅広い視点での展開に一読では理解し切れたとは言い難い。しかし、浅い異文化理解だったのを痛感。硬貨1枚で学んだものは計り知れず。2016/10/17
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植田晃次「「ことばの魔術」の落とし穴」