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内容説明
ライト“空気ポンプの実験”は、18世紀の絵画を解き明かす鍵である。この絵の描写には、これを貫く三つの局面が指摘される。まず第一の局面において、この絵は手の込んだ実験のきわめて精確な再現描写である。第二の局面において、これは夜に行われた実験という、特殊な演出効果を狙った表現である。実験者は魔術師のように登場し、これに対する観衆のさまざまな反応が、綿密な表現で描きとめられている。第三の段階では、当時問題となった進歩への信頼と宗教の関係についてなされた、ことを分けての反省が示されている。この反省は同時にまた、芸術の歴史とその伝統的なフォルムとの対決でもあった。だが、そうした対決を乗り越えて進歩の問題に迫ろうとしたライトの姿勢は、この絵においても明らかである。またそれによって、この絵は18世紀の芸術言語の危機についての自覚の証ともなっているのである。
目次
第1章 ライトとその時代
第2章 主題と構成
第3章 テーマの文化史的広がり
第4章 ライトとキリスト教画像の伝統
第5章 涜神的表現の解消―ライトとデイヴィッド・ハートレイの連合心理学
第6章 ルーナー協会とエラズマス・ダーウィンの美学