内容説明
王侯・君主は「宮廷」を舞台にその権威を示すため、建築、彫刻、絵画、美術調度品で自らを荘厳することを芸術家に求めた。一方、「宮廷」というパトロンを得た芸術家は生活の安定と相応の社会的地位を獲得したが、主君への隷属や権勢の変動による危機に直面することにもなった。各時代の注目すべき事例とともに、その処遇の実際までを論じる。
目次
「地獄の枢機卿」アルブレヒト・フォン・ブランデンブルクによる美術振興―聖遺物崇敬と扮装肖像の文脈から
ヴァン・ダイクとチャールズ1世の宮廷―イギリス時代を概観して
宮廷と宮殿―17世紀のピッティ宮における宮廷儀礼と建築の関連
晩年のベラスケスとフェリペ4世、廷臣から芸術家へ―マリア・テレサの婚儀を糸口に
宮廷画家から近代画家へ―ブーシェと美術アカデミーの改革を中心に
はりぼて凱旋門の語るもの―16世紀の君主の入城式におけるアッパラートに関する覚書
史料に見る宮廷の中の芸術家たち―メディチ家の宮廷と芸術家の地位
マルタン・ド・シャルモワの嘆願書/ジャン=バティスト・コルベールのプッサン宛書簡
Alexander M.Schenker,The Bronze Horseman:Falconet’s Monument to Peter the Great
「パリ1400年」展―ゴシック美術における恩寵の時(ルーヴル美術館、2004年3月~7月)
文献リストと解題
中世におけるマリアとマルタ
複製版画と批評―ジュリオ・サヌート「アポロとマルシュアス」の場合