内容説明
アカデミーへの反抗をとおして聖化される前衛=印象派というイデオロギー。誰もが疑わなかった二項対立の「物語」に終焉を宣告する、いまや古典となった問題作、本邦初訳。
目次
第1章 フランス公認美術の結晶化
第2章 私設アトリエのカリキュラム―その習練
第3章 私設アトリエのカリキュラム―その教師たち
第4章 アカデミックなスケッチ
第5章 実践におけるスケッチ
第6章 模写―アカデミックな模写
第7章 アカデミックな風景画―その伝統的手法
第8章 アカデミックな「エチュード」―生成の手法
第9章 スケッチの美学
著者等紹介
ボイム,アルバート[ボイム,アルバート][Boime,Albert]
1933年生まれ。現在、カリフォルニア大学教授(専門は芸術社会史に基づく近代美術史)
森雅彦[モリマサヒコ]
1952年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了(美学・美術史学)。宮城学院女子大学学芸学部教授(専門はイタリア・ルネサンス美術史)
阿部成樹[アベシゲキ]
1962年、京都府生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了(美学・美術史学)。パリ第一大学美術史学博士。山形大学人文学部助教授(専門はフランス近代美術史)
荒木康子[アラキヤスコ]
神奈川県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退(美学・美術史学)。福島県立美術館学芸員
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
6
これは本当に面白い。アカデミズムってのは、印象派によって否定され乗り越えられる対象としてしか見られないことが多いが、19世紀美術の変遷ってのはそのアカデミーの教育システム自身が作り出してきたってことを本書は示している。スケッチ―完成の対応関係ってのが最重要。前者は芸術の霊感である着想であり、後者はそれを綺麗な画面に仕上げる技術。後者から前者への重点の移り変わりはアカデミー内部で始まった。印象派に帰せられる戸外制作や、スケッチ風の仕上がりなども、アカデミー教育のなかでは、習作といったかたちで行なわれていた。2012/11/11
Yosuke Saito
1
Social History of Modern Artの4作でも著名なアルバート・ボイムによるアカデミスム美術再評価のきっかけとなった記念碑的著作。たとえばマネやルノワールといった前衛芸術家たちに、いかにアカデミーでの教育が影響を及ぼしているかを明らかにしている。モダニスム美術史批判および、ニューアートヒストリー以降の近代フランス美術研究必読の書。2011/12/04
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