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内容説明
ドイツ・ロマン主義芸術の基礎を築いたフィーリプ・オットー・ルンゲは、1805/06年に『ヒュルゼンベック家の子どもたち』を描いて、ドイツ美術史上もっとも有名な子どもの絵を生み出した。この作品に描かれた世界を手掛かりに、著者はルンゲの描法を英国の絵画や古典主義の絵画と比較し、さらにルンゲ自身の光と色彩の理論に関連づけながら分析している。それにより、ハンブルク美術館に収められているこの作品が、内容と形式を見事に一致させることで、子供たちのふるまいが段階を追って発展していく様子を他にない仕方で表現していることが明らかにされている。同様にこの作品が、ナイーブなものを芸術を通じて意識に昇らせることで、失われた楽園に対するロマン主義的な理念を描き出していることも示されている。またこの作品を鑑賞するのにふさわしい態度についても、同時代の文献によって説明されている。こうして、著者の体系的な考察はドイツ・ロマン主義の芸術的思考を解くための鍵を与えてくれている。最後にルンゲと『ヒュルゼンベック家の子どもたち』の影響力が、ロマン主義の画家たちだけでなく、カール・フリードリヒ・シンケルや、マックス・エルンスト、パウル・クレーのようなモダン・アートの古典的な画家たちにまで及んでいることが指摘されている。
目次
第1章 場所
第2章 英国の例
第3章 線的な様式
第4章 光と立体
第5章 手でつかむということ
第6章 意識の展開
第7章 閉め出された未来
第8章 子どもの独自性
第9章 無垢なものへの省察
第10章 絵画と観照者
第11章 影響
著者等紹介
トレーガー,イエルク[トレーガー,イエルク][Traeger,J¨org]
1942年ローゼンハイム生まれ。1976年からレーゲンスブルク大学美術史講座担当教授
伊東多佳子[イトウタカコ]
1963年神奈川県生まれ。1994年大阪大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了(美学専攻)。現在、高岡短期大学産業造形学科講師。専門は美学・芸術学
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