出版社内容情報
メディチ家に取り入る手段として自らの肖像画を贈ったアレティーノの計画から、当時の肖像画の機能を明らかにする。
内容説明
「王侯君主の鞭」を自認し、文筆を武器に権力者とわたりあったアレティーノ。彼が友人ティツィアーノに描かせた自らの肖像画は、メディチ家当主コジモ・デ・メディチ一世に接近し懐柔するための贈答品だった。結局この計画を破綻させたメディチ家執事の画策を、綿密な史料調査によりスリリングにたどる。
目次
第1章 贈り物とその返礼
第2章 ピエトロ・アレティーノとフィリッポ・パンドルフィーニ
第3章 期待
第4章 執事ピエルフランチェスコ・リッチョ
第5章 肖像画家ブロンズィーノ
第6章 ティツィアーノ、カール五世、コジモ一世
第7章 破綻した計画
第8章 肖像画と自己表象
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みのくま
6
アレティーノの人生を概観すると、かなり上位の迷惑系ユーチューバー感がすごい。彼は歯の浮く様な美辞麗句と下品極まりない辛辣な悪口を王侯貴族に手紙にて送りつけ、それをのちに書簡集として世に発表する。名文家なのかもしれないが、やっている事は強請り・たかりに類するものであったろう。ティツィアーノは一時期そんな彼とタッグを組み、世に名高い「ピエトロ・アレティーノの肖像」を描いた。だが、この肖像画もまた数奇な運命を辿る事になる。本書はミステリ風にその謎を解き明かしており、大変面白く読んだ。このシリーズは読み進めたい。2022/09/26
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