感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
66
小説とのことですが、史実に基づいて書かれたようです。龍前慎之介を中心に、大砲を作っていく過程が、技術面での記述が多く書かれているが、人のつながり、助け合いが見事にまとまって良い結果を得られたように思う。あっという間の楽しい時間でした。2025/02/10
Ino
2
読んでいて東野圭吾の推理小説を思わせるような展開でワクワクした。 また単なる創作に終わっておらず、綿密な資料研究に基づいて鍋島藩の一つの謎とされるある歴史的事実について作者なりの解答を道いている。とても読みごたえのある作品だ。2021/03/01
茶幸才斎
1
幕末の肥前佐賀藩は、日本初の鉄製大砲を鋳造し、蒸気機関を自作して蒸気船を建造し、電池と電磁石で電信機を製作するなど、卓越した技術開発力を有したが、それは何故か。そこには、歴史に名を残さなかった一人の下級武士の青年、算術と理学に秀で、蘭語を読めぬのに蘭書の図表や数式を理解する異能の男、龍前慎之助の存在があった。彼には、先の世が見えていた。とはいえ、そんな彼が受容されたのは、聡明な藩主鍋島閑叟の下、藩校弘道館を出た俊英たちが集い、国家の近代化を目指した藩の気風によるだろう。肥前佐賀藩には、先の世が見えていた。2025/02/11