内容説明
江戸時代に生まれた怪談集の原点は、ここにあった―。織田信長、明智光秀ら有名武将にまつわるものから、京の都に出没する化け物、城に起こる怪奇現象に、町衆が恐れた祟りの噂まで、乱世を生きた人々が遺す、奇妙な物語。
目次
第1章 戦国武将の怪談・奇談
第2章 戦国時代の京の怪
第3章 地方の奇譚三題
第4章 旅する人の怪談
第5章 生き物の怪異
第6章 城と人柱の話
第7章 旗指物
著者等紹介
東郷隆[トウゴウリュウ]
横浜市生まれ。国学院大学卒。同大博物館研究員、編集者を経て、作家に。歴史小説を執筆。1990年『人造記』等で直木賞候補となり、1994年『大砲松』により吉川英治文学賞新人賞、2004年『狙うて候―銃豪村田経芳の生涯』で新田次郎賞、2012年、『本朝甲冑奇談』で舟橋聖一賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
116
人心荒む戦国時代。世を儚むよりは物の化の仕業と納得する方が生きやすかったのかもしれません。幽霊妖怪、はたまたUMA。怪奇現象に超常現象。メジャーな武将から無名の僧まで。怪談奇談の古典ダイジェスト。歴史小説を読むときの豆知識、アナザーストーリーとして役立つかも。本能寺の変の時の明智光秀に起こったドッペルゲンガー現象などは興味深い。光秀を護衛していた武士が『玄琳記』などという書物で語っているらしいのですが、はたしてそれは心霊現象か精神破綻による幻視の類いか…。世相や人物を鑑みるとちょいと趣があります。2020/08/24
nana
79
短編で読みやすかった。空き時間におすすめ。2020/10/13
ポチ
55
戦国時代頃の怪談•奇談•怪異などが多数掲載されており、どれも短くサラサラと読み進められる。武将絡みの話など結構楽しめた。2022/05/25
たいぱぱ
53
「耳袋」などで江戸期に語られていた怪異譚の原点のような話を集めた作品。話は聞いたことある昔話を聞いてるような「ふ〜ん」という内容が多いのですが、壬生寺など知ってる場所が出てくると「境内で長閑にまるき製パン食べてたけど、そんな怪異が語り継がれてるだ!?」とちょっと興奮する。誓願寺の弁慶石とかみてみたいな〜。「仙台って『千体の仏像』から伊達政宗が名付けたの!?」「森蘭丸の森家って、その後大名になって明治まで存続してたんだ!?」など怪異とは全く関係ない、この本で言えば蛇足的な歴史に食いついちゃいました。2023/08/06
イトノコ
28
図書館本。戦国乱世を舞台にした怪奇譚を蒐集。/小説ではなく、実際に伝わっている噺を著者が編集したものらしい。「森蘭丸が本能寺の直前に信長の死を予言する馬頭をみた」「明智光秀が死の直前に己のドッペルゲンガーを見た」「秀吉がかつて斬り殺した妻の亡霊を見た」など、武将がらみの噺は面白い。上杉謙信が晩年に乱心していたと言うエピソードは意外。やはりアル中のせい?京極さんファンにはお馴染みの、駿府城に出た「ほう」や飛頭蛮、舞首なども。他の妖怪噺は小さい頃に「日本昔ばなし」で見たものも?2022/11/07