出版社内容情報
メダルをもらえなくても、声援すらなくても、わたしはわたしの人生のヒロインだ。1964年の東京を舞台に描く働く女性たちの物語。オリンピックなんて、来なければいいと思っていた――。東京が来たる祭典への期待でにぎわうなか、突然夫から離婚届を突きつけられた愛子。各国の要人をもてなすコンパニオンに挑戦するお嬢様・恭子。金の卵と呼ばれ、高級ホテルの厨房で山ほどの皿を洗いながら、調理師を夢見る栄子。幼い頃に母をなくして以来、泣かないと決めた、時計会社の事務員・マツ子。警察官の夫に先立たれ、反抗期の息子に頭を痛める、タイピストの頼子。それぞれの苦悩や希望を抱いた彼女たちは、歓声に包まれるヒーローやヒロインたちに、何を見たのか……。1964年の東京を舞台に描く、働く女性たちの物語。
伊多波 碧[イタバミドリ]
著・文・その他
内容説明
自分が出るわけでもないのに、なぜ盛り上がっているのだろう。突然夫から離婚を言い渡された愛子は、来たるオリンピックへの熱狂に、うんざりしていた。何を観戦しようかと夫と話していたことなど、もはや昔話だ。しかし、ある日記を目にしたその日、愛子は新たな一歩を踏み出した―。昭和39年の東京オリンピックをモデルに描いた5つの物語。
著者等紹介
伊多波碧[イタバミドリ]
2001年作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
70
伊多波碧さん、初読み。1964年の東京オリンピック。オリンピック準備室の秘書・コンパニオン・選手村食堂の下働き・服部(作中では服田)時計店の事務員・新聞社のタイピスト、5人の働く女性たちの物語。働く女性が珍しかった時代、2020年の大会に思いを馳せながら読了。2019/06/08
いたろう
63
1964年の東京オリンピックの時、オリンピックに関連する仕事をしていた女性たちを描いた5編の短編集。都庁の秘書室兼オリンピック準備室の秘書、五輪コンパニオン、選手村の食堂の雑用係、オリンピックで計測を受け持った服部時計店(現セイコー)の社員、オリンピックを報道する新聞社のタイピスト。今より女性が働くことが難しかった時代、華やかなオリンピックの陰で、精一杯に仕事をし、懸命に時代を生きた彼女たちの姿に感動を覚える。そして、2020年の東京オリンピック直前の現在、前回の東京オリンピックの時代が身近に感じられる。2019/05/20
さくら咲く
24
1964年開催された東京オリンピック。間近に迫る東京を舞台に女性を主人公とした4篇のお話。そんな時代だったのかもと思う。昭和は遠くなりにけり。2024/05/19
れんこ
16
今より女性が働くことの後ろめたさや厳しさがあった1964年の東京オリンピックを背景にした短編集。表紙の絵のような気持ちになれた本でした。2019/11/03
HaruNii
8
1964年の東京オリンピックに絡む仕事をしていた人たちの5編の短編集。「金の卵、かえる」が印象的で感動しました。2020/06/06




