内容説明
全10巻、堂々完結。中国の奇書を見事に蘇らせた表題作に岡田嘉夫の華麗なイラストを再録。貴重な短篇5篇を併録。
著者等紹介
皆川博子[ミナガワヒロコ]
1930年、京城生まれ。東京女子大学英文科中退。72年、児童向け長篇『海と十字架』でデビュー。73年6月「アルカディアの夏」により第20回小説現代新人賞を受賞後は、ミステリー、幻想、時代小説など幅広いジャンルで活躍中。『壁―旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会協会賞(85年)、「恋紅」で第95回直木賞(86年)、「薔薇忌」で第3回柴田錬三郎賞(90年)、「死の泉」で第32回吉川英治文学賞(98年)、「開かせていただき光栄です」で第12回本格ミステリ大賞(2012年)、第16回日本ミステリー文学大賞を受賞(2013年)
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。出版芸術社勤務を経て、SF・ミステリ評論家、フリー編集者として活動。編著『天城一の密室犯罪学教程』(日本評論社)は第5回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
31
皆川博子版『金瓶梅』。山田風太郎の大傑作『妖異金瓶梅』の存在は当然皆川も意識していて、同じミステリという土台で勝負しては勝ち目がないと判断したらしく、荒唐無稽な活劇としてアレンジしている。『みだれ絵双紙』のタイトルが示すように、岡田嘉夫の絵が小説を喰うかのごとくの存在感で圧倒する。もはや挿絵の枠を超えるスペースで小説を凌駕しようとする。それをまた皆川が愉しんでいるのが伝わってくるのだ。回が進むごとに荒唐無稽さがエスカレートし、ついには皆川と岡田が作中に登場する始末。(つづく)2021/05/31
秋良
10
残酷ながら美しい金瓶梅に、歌舞伎風の外連味が加わってまあ皆川先生とても楽しそう。挿絵も艶かしくて素敵。2017/12/03
miicha
9
金瓶梅は待ちきれず旧版で読んでしまったのですが、改めて読んでも美しく勢いがあって圧倒されます。全10巻の刊行本当にありがとうございました。未読の作品がまだまだあるので皆川先生のお話を沢山読んでいきたいです。2017/11/19
夏子
6
皆川博子が文章を、岡田嘉夫が挿絵を描いた表題作「みだれ絵双紙 金瓶梅」が魅力満載で流石の面白さ。お二人ともノリノリなのが伝わってきて読んでいて楽しかった。2018/03/13
隠者
3
内容も絵も申し分ないぐらいの傑作。これが今まで刊行されなかったというのが非常に惜しい。それだけ作る側は苦労したことでしょう。欠点は本じゃ絵がよく見えないから一枚絵で見たいのとこだわり過ぎて読みにくい!ということぐらい。でもそんなものはどうでもいいというぐらいの力がある。絵が独特なタッチでいったいどういう風に書いてるんだろう?と疑問に。これでコレクション制覇だけど全体的には少しダレるものもあったけどクォリティは非常に高くてこれで製本されないということに驚くばかり。これだけ書ける人の方が少ないだろうに。2022/02/01